本が好きで友人が減りそうです
女優、美村里江さん
読書が好きで、図書館から読みたい本を次から次へと借りて読んでいます。面白いとつい友達からの誘いも何かと理由をつけて断ってしまいます。このままでは友達がどんどん減ってしまいそうで心配です。(東京都・女性・70代)
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「読書」と「友達付き合い」では、「友達をとるべきだ」、という考えが相談者さんにはあるようですね。同じ読書好きとして自分はどうかしらと、考えてみました。
私は多分、「読書の魅力に勝てない友人は要らない」というのが結論です。
TV番組の打ち合わせで、最も多く聞かれる質問、「芸能界のお友達を教えてください」。
現場ではスタッフや共演者とたくさん会話し、作品制作にいそしんでおりますが、仕事仲間=友人というわけではないので、私は「いません」とお答えしています。
「同じ社内にいるあなたのお友達を教えてください」と言われたら、多くの社会人は「?」と思うでしょう。芸能界はそういう不思議が常識となっている世界なのです。
と、話題がそれましたが「読書の魅力に勝てない友人は要らない」という結論はオススメできます。ドライなようですが、より相談者さんを楽しませてくれる方を取ればいいのです。どんなに本が面白くでも、例えば20年ぶりに連絡してきたかつての親友からの誘いならば、本を放り出して出かけませんか?
相談者さんの友人たちも、そうやって取捨選択しているのです。図書館で借りたい本、1冊多かったら、まずは面白そうな方を先に借りますよね。それと同じで、とても自然なことです。
友達が減る心配も、夢中になれること(つまり、相談者さんにとっては読書)があれば、考える必要はないようにも思います。
友人はありがたいものです。私も知らないことを教えてくれる異業種の友人や、学生時代の友人は大事にしています。しかし一人で過ごしていても人生が楽しいのであれば、必ずいなくてはいけないものではないという考えです。
突然の誘いを「今読んでいる本が面白くやめられないから、また今度ね」と断っても、「いいね! その本今度貸してよ」と返してくれるようなお友達がいらっしゃるといいですね。
減る心配をするよりも、新しく、黙ってお互い好きな本を読みふける友人をつくるのもすてきです。
相談者さんのいちばんの親友「本」を理解するご友人に出会えますように。
[NIKKEIプラス1 2018年5月19日付]
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