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プロセスチーズは戦後に普及した=PIXTA

時は流れ、今やデパ地下やスーパーでも色々なチーズが並ぶようになった。それでもやはり、チーズといえばプロセスチーズを連想する人が大多数ではないだろうか。では、日本でプロセスチーズが主流になったのはなぜなのか。そこにもちゃんと理由があった。

プロセスチーズはナチュラルチーズとは作り方が違う。ナチュラルチーズは牛乳や山羊などの乳に、乳酸菌や凝乳酵素を加えて凝固させ、ホエイ(乳清)を取り除き、乳酸菌やカビなどの力で発酵させたものだ。一方、プロセスチーズは熟成したナチュラルチーズを1~数種類を加熱かくはんし、味を整え加熱殺菌してから固めたもの。もともとは余ったチーズを保存する目的で開発され、20世紀に入ってから作られるようになった。加熱殺菌することで酵素の働きが弱まるため、長期保存できることが特徴だ。

日本では「蘇」がいったん姿を消し、1800年代の明治時代になってから北海道開拓庁によってチーズの試作がはじまった。1900年代に入ると、国内でも少しずつチーズが作られるようになるが、この頃はまだごく一部の上流階級のぜいたく品にとどまっていたようだ。

プロセスチーズが一般の人にも広く消費されるようになったのは戦後のことだ。栄養バランスにすぐれ、加熱しなくても食べられるプロセスチーズは米軍の携行食として用いられたことも、日本での普及を後押ししたようだ。終戦後のヤミ市で駐留米軍から放出された物資が販売されるようになると、プロセスチーズもその1つとして徐々に広まっていったという。

初めて経験する食べ物を食べる時、どんな味がするのか想像しながら味わうのはなんとも楽しい。世界中に驚くほど多くの種類があるチーズなら、まだ食べたことのないものに出合える可能性も高いはずだ。古代のチーズや世界のチーズなら、きっとあなたに未知のおいしさを体験させてくれるに違いない。

(日本の旅ライター 吉野りり花)


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