ミュージカル俳優のコントはラテン系全開(井上芳雄)第22回

日経エンタテインメント!

井上芳雄です。『グリーン&ブラックス』(WOWOW)というミュージカルコントの番組を2017年4月から月1回放送しています。この春から2年目に入りました。福田雄一さんと僕がレギュラーで、毎回いろんなミュージカル俳優がゲストで登場します。脚本・監督・トークコーナー司会の福田さんは、映画、ドラマ、舞台のクリエイターとして幅広く活躍されている笑いの達人。コントをやってあらためて思うのは、ミュージカル俳優はラテン系気質というか、体を動かすのが大好きで、明るく開放的な人たちが多いですね。

福田雄一×井上芳雄『グリーン&ブラックス』#14のコント場面より、左から井上芳雄、袖希礼音、愛原実花(毎月第4土曜深夜0時/#14は5月26日 深夜0時/WOWOWプライム)

番組は、コントと歌とトークのコーナーで構成されています。コントは劇場の楽屋を舞台に、ミュージカル界ならではの出来事を描きます。俳優はジャージとか稽古着のような装い。本人役なのですが、福田さんが持っているその人のイメージを膨らませたり、誇張していたりするので、本人そのままのキャラクターではありません。

最近放送したコントだと、ミュージカルが大好きなアイドル、まゆゆこと渡辺麻友さんが語るオリジナル・ミュージカルの構想に沿って全員で歌いまくる回や、ハイテンションの川久保拓司くんが飲みに行こうとみんなを誘うけど、公演の合間に収録に来ている俳優たちは余裕がないので誰も賛成しなくて…という回がありました。

俳優同士は、お互い知ってはいるけど共演は初めてという関係も多いので、わりとガチでやっています。まゆゆの妄想ミュージカルの回も、脚本には簡単に「『美女と野獣』の曲を歌う」とか「『エリザベート』の曲を熱唱」とあるだけ。伴奏もなく、長さも適当、振りもとっさで、演じるのが大変でした。特にメインのまゆゆはセリフが長く、大変だったと思いますが、ちゃんと覚えて来ていたのでさすがでした。

福田さんはいつもむちゃぶりですが、それを喜々として歌ったり踊ったりする俳優が集まって来てる感じです。収録はほとんど長回しの一発撮り。カット割りはあまりしないので、緊張感が漂います。

「どこまでふざけて大丈夫ですか?」

福田さんの笑いのつくり方は、脚本にあるセリフや動作を俳優が自分で膨らませていき、それを福田さんが「面白いからやろう」とか「いらないかな」と取捨選択していく方法。俳優は余計なことを含めて思いきり遊んだり騒いだりするのが役割で、最終的には福田さんが編集できれいにまとめてくれます。放送で使うのは10分程度でしょうが、30分くらい撮るときもあり、放送では絶対使えないネタを延々としゃべっていたりします。

だから初めて参加する俳優は、「どこまでふざけて大丈夫ですか?」と戦々恐々。僕が唯一のレギュラーなので、稽古での本読みから率先して書かれてないことを言うように心がけています。福田さんは、とにかくワッハッハと笑ってくれるので、それがバロメーター。そうやって「勝手にやっていいんだ」という場の雰囲気をつくった上で、収録に臨みます。

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