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AIキーパーがPK止める? ボールの方向、8割で的中 岩手県立大、蹴る動きから予測

2018/6/11 日経産業新聞

W杯のPK戦でキーパーがシュートを阻止した割合は2割程度という(写真は2017年のJリーグ)=共同

 岩手県立大学の伊藤慶明教授らは、サッカーのPK戦でキッカーが蹴る方向を人工知能(AI)で予測する技術を開発した。ゴールキーパーがうまくボールを止めるのに役立てる。キッカーの頭や首、両足、両腕など25カ所の動きを解析したデータを活用し、どの方向にボールが飛ぶのかを高精度に予測できるようにした。様々なスポーツで選手の動きを分析する研究に生かせるという。

 サッカー強豪高校の右利きのサッカー部員35人が実験に参加。左右に1回ずつ蹴り分けてもらったときの様子をカメラで撮影し、集めた画像データをAIに学ばせた。

 ボールに近づいたキッカーが足を引いた瞬間と蹴る瞬間に、それぞれ体の25カ所の部位がどう動くのか、その動きの大きさ、向きなどがどう変わるかを調べた。蹴る方向が左右で違う場合の動き方を比較し、ボールを蹴る方向を予測した。

 AIは、81%の確率で左右の蹴り分けを予測できた。サッカー強豪高校に所属するキーパーの予測精度は50%で、それを大幅に上回る。右利きキッカーの25カ所の部位の中で、蹴る方向を予測する際に右足首の動き方を最も重視していた。次いで右足、右膝、左手先、左手首の順だった。

 この技術を実際の高校サッカーに応用すると、キーパーはキッカーの右足と左手に注目して蹴る方向を予測すれば、ボールを止めるのに役立つことが示唆されたという。

 伊藤教授の集計によると、1930年から2010年までに開かれたサッカーのワールドカップ(W杯)で、ゴールキーパーがPK戦でシュートを阻止したのは19%にとどまる。プロでもAIによる解析データを生かすことでセーブの確率向上につながる可能性がある。

 AIはデータの中から、人間にも見つけ出せないような特徴を発見するのを得意としている。AIを活用すれば、野球の投手の球種の投げ分けなどもフォームから見分けられる可能性がある。

(大越優樹)

[日経産業新聞2018年5月17日付]

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