社会科学でも、似た課題がありそうです。大阪大学経済学部の二神孝一教授らは17年、東京大学や九州大学といった国立9大学の経済学研究科など14研究機関を調べた結果を発表しました。のべ500人規模の教員の論文が、経済学の国際的に著名な学術誌などに載った数についてです。12~16年、9機関で、過半数の教員が1本も載っていないと分かりました。目ぼしい成果はないと判断されかねず、改革への圧力はさらに強まりそうです。

田崎晴明・学習院大教授「大切なのは仲間との議論と時間をかけること」

シュプリンガー・ネイチャーは学習院大学が国内大学ランキングでトップになった要因として、理学部教授の田崎晴明氏の研究を挙げています。統計物理学が専門の田崎氏に、研究内容と、研究するうえで大切にしていることを聞きました。

――統計物理学とはどんな研究をする分野ですか。

田崎晴明・学習院大理学部教授

「私たちに見えている世界は、(いわば)小さい部品がいっぱい集まってできている。だが小さな部品の個別の性質と、ものすごい数集まったときの性質は全く違う。例えば、水は冷やしていくと0度で凍る。ただ、水をつくっている部品にあたる分子の中に司令塔がいて、0度で凍れと決めているわけではない。たくさんの部品が集まることで、全体として0度で凍るという性質が生まれてくる」

「ほとんど無限に近い部品が集まっている状態を調べなければいけないので、普通の考え方だとなかなかうまく取り扱えない。部品が集まっている状態について、(より専門的な)いろいろな数学的な方法を作ったり使ったりといった研究をしている」

――具体的にはどんな研究をしていますか。

「(高温の熱源から受け取った熱を電気などのエネルギーに変える)熱エンジンの中では、ひとつひとつの分子が力学の法則にしたがって動いている。こうした無数の分子の集まりが動かす熱エンジンが、どれくらいうまく機能するのかを数学的な手法で研究した。実際に世の中で使われている熱エンジンに関係しており、私にしては珍しく役に立つ研究だと思う」

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら