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論文掲載効率トップに学習院 「小規模大」健闘の秘密

2018/5/22

若手が協力して研究を進める(東京理科大の研究室)

 英独学術出版大手のシュプリンガー・ネイチャーは3月、日本の大学の論文が、物理や生物など自然科学の主要誌に掲載された割合のランキングを発表しました。各大学で2012年から17年、発表された論文総数のうち、68誌に載った数を研究効率の指標としたものです。トップは学習院大学でした。2位は東京大学で、甲南大学、京都大学と続きます。調査では「比較的に小規模の大学の健闘が目立つ」との指摘をしていますが、どんな要因があるでしょうか。

 シュプリンガー社は世界の研究機関について調べていますが、質の高い論文の執筆者に取り上げられた、学習院大理学部の田崎晴明教授によると「若手として着任した際の雑務は、年が上の教員がやってくれた」とのことです。「(雑務の分まで)研究に集中し、良い成果を出してください」と言われたことが良いプレッシャーにもなったと振り返ります。同学部は今でも、40代までの研究者には、研究と直接関係のない雑務をさせない方針を取っているようです。

 甲南大理工学部の日下部岳広教授は15年、主要誌の一つ、英科学誌ネイチャーに論文が載りました。同大が上位に入った要因について、日下部氏は「若手にも自分のやりたい研究ができる環境が整っている」と話します。甲南大では、着任時から先輩教員と同じ広さの研究室を与えられ、大学からの研究費の配分も変わらないといいます。

 一般的には、若手は研究意欲が比較的旺盛とされているにもかかわらず、研究時間が十分に取れないとされます。両大学は、若手時代から環境を整え、将来にわたる研究の総量を確保しているといえそうです。

 もっとも、シュプリンガー社の指標は各大学の論文数が分母となるため、どれだけ多くの論文を発表したのかではないことに注意が必要です。調査では、日本全体で主要誌への掲載論文数が減少傾向にあることも指摘しています。12年から16年までの5年間に20%程度減り、17年も前年比3.7%減りました。量からみた研究効率を上げるには、自由な研究環境だけでなく、従来より論文の発表頻度を評価する仕組みも必要そうです。

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