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ツタンカーメンの「隠し部屋」論争に決着 その舞台裏

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

エジプト、王家の谷にあるツタンカーメン王墓で入念なレーダースキャンが実施され、玄室の壁の奥にあると期待された隠し部屋や通路が、いずれも存在しないことが決定的に判明したと2018年5月6日、エジプト当局が発表した。

ギザの大エジプト博物館(GEM)で開かれていた第4回国際ツタンカーメン大エジプト博物館会議において、エジプト考古最高評議会のムスタファ・ワジリ事務局長の名前で声明が発表された。

調査が始まったきっかけは、ナショナル ジオグラフィックが支援するエジプト学者ニコラス・リーブス氏が、3300年前のツタンカーメンの墓の後ろに第18王朝の伝説の女王ネフェルティティの墓が隠されているという仮説を提唱したことだ。以来、3年にわたって繰り返されてきた調査は、今回の発表によって残念な結末を迎えた。

リーブス氏の説を検証するため、これまでにも2度、地中探査レーダー(GPR)を使った隠し部屋や通路の探査が行われたが、決定的な証拠は得られていなかった。

3度目となる直近のレーダー調査は、ナショナル ジオグラフィック協会の支援を受け、イタリア、トリノ工科大学のフランコ・ポルチェリ氏を中心とする合同科学チームが18年初めに実施した。これまでで最も包括的な調査だった。

5月5日にポルチェリ氏がワジリ氏とエジプト考古相カーレド・エル・アナニ氏に提出した報告書は、「ツタンカーメンの墓の隣に隠し部屋が存在するという仮説は、GPRのデータでは認められないと、大いに自信を持って結論する」という言葉で締めくくられている。

相反する2度の調査結果

GPRは、一般に石油やガス、その他の鉱物資源を探すために使われる遠隔探査技術だが、考古学調査にもますます不可欠なツールになっている。墓や通路のような、地中にある人工の空間を、壊れやすい古代遺跡を傷つけずに見つけ出すことができるからだ。

2015年には、レーダー技術者の渡辺広勝氏がツタンカーメンの墓をGPRスキャンで調査し、玄室の北と西の壁に隠された入口がある証拠を発見したという、驚くべき結果を発表した。

しかし、2016年にナショナル ジオグラフィック協会のエンジニアが実施した2度目の墓のレーダースキャンでは、渡辺氏の発見を検証できなかった。

2度のスキャン調査で明らかになった相反する結果について、2016年の国際ツタンカーメン大エジプト博物館会議で意見が対立し、エル・アナニ考古相は「決着をつける」ための包括的なレーダー解析の実施を依頼した。

3チームが3つの周波数で調査

今回の報告書には、2018年2月に新たに実施された3回のスキャンの結果が含まれている。スキャンは3つの独立したチームが、それぞれ異なる周波数(高、中、低)を用いて行った。高周波のレーダーでは、約2メートルの深さまでの詳細な結果を得ることができる。一方、低周波ではより深くまで調べられるが、解像度が粗くなる。

共同研究チームは7日間にわたって調査を行い、表面を走査した距離にして約2.5キロメートル分のデータを収集した。

複数の専門家が、レーダーのデータを個別に解析した後、全員でそれぞれの結果のクロスチェックを行った。

「わかったのは、玄室の壁から4メートル奥までに、入口や空間が存在する証拠はないということです」とポルチェリ氏はナショナル ジオグラフィックに語った。

「残念ながら、これが結果です。私たちの確定的な見解です」

ゴースト信号

以前行われたレーダースキャンでファラオの玄室において異質なものが検出されたことから、奥にネフェルティティの墓が隠されているのではないかという期待が高まったわけだが、その原因をポルチェリ氏は「ゴースト信号」、すなわち、壁の奥ではなく表面で起こる、まぎらわしいレーダー反射だったと考えている。

通常の状態では、GPRが発射した電波は壁を通り抜け、真っすぐに跳ね返ってきた波を受信するため、信号はクリアになる。

しかしツタンカーメンの墓では、どこかの部分で電波が壁を貫通せず、壁の表面など別の経路をたどって受信機に戻ったためゴースト信号がとらえられたと見られる。

その原因として研究者らが考えているのは、石灰岩の壁に塗られた漆喰に、電気を通す性質があるのではないかということだ。

「石灰岩自体にも、この現象を生じさせる性質があるかもしれません」とポルチェリ氏は説明する。

そのほか、巨大な珪岩でできたツタンカーメンの石棺によるゴースト信号もあったかもしれないと、研究者らは考えている。

技術の有効性を証明

最新のレーダースキャンの結果は、調査を始めるきっかけとなった「隠されたネフェルティティの墓」という当初の仮説を立証するものにはならなかったが、ポルチェリ氏は、このプロジェクトによって、GPRが最終的な答えを出せることが示されたと考える。世界中の遺跡で実績が上がっているにもかかわらず、エジプトの考古学界には未だにこの技術を懐疑的に見る人が多い中で、これは特に重要なことだ。

「伝統的な考古学の方法より効率的で、より非破壊的な調査を可能にしてくれるかもしれません」とポルチェリ氏は言う。

ナショナル ジオグラフィックの考古学者フレデリック・ヒーバート氏も同意見だ。

「これは王家の谷で行われた最初の決定的なGPRプロジェクトです。方法の有効性を証明するものです。今後エジプトで行われるであろう優れた研究でも役立つでしょう」

「がっかりする結果かもしれませんが、科学には逆らえません」

次のページでは調査の写真をあと5枚紹介する。

(文 Kristin Romey/訳 山内百合子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年5月8日付]

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