ヘルスUP

日経Gooday 30+

不妊治療は男性から取り組む 早めの精液検査を 男性不妊症の実態と治療法(後編)

日経Gooday

2018/5/23

■男性不妊症の治療1~精子に問題がある場合

先に述べたように、男性不妊の原因のうち、約8割は精子に問題がある「造精機能障害」。そのうち約半数が原因不明のもの(特発性という)だ。精液量1.5mL以上、精子濃度1500万/mL以上、精子運動率40%以上ないと自然妊娠は難しいといわれ、状態によって以下のように分けられるが、

・乏精子症……精液中の精子の数が少ない状態
・無精子症……精液中に全く精子がいない状態
・精子無力症……精子運動率が低い状態

「精子の数が少ない人は、たいてい動きも悪いし、形も悪いことが多いので、根底はどれも同じです」(小堀さん)

精子に問題がある場合、まずは日々の生活習慣を改善したり(前回記事「ブリーフ・長風呂…不妊を招きかねない男の習慣」)、抗酸化作用のあるサプリメントを服用したりして数や運動率の改善を試みるが、効果がなければ人工授精、体外受精などに進む。

「そのカップルの状況次第ではありますが、精子の数が極端に少なかったり、全く動いていないということが早い段階で分かれば、人工授精や体外受精を飛ばして顕微授精を選択することもあります」(小堀さん)

■男性不妊症の治療2~精索静脈瘤・無精子症の場合

時間のロスを防ぐためにも、男性ができるだけ早く精液検査を受けることが大切だ。写真はイメージ=(c)daizuoxin-123RF

造精機能障害の中には、「精索静脈瘤」と呼ばれる、精巣周辺の血管がこぶ状に肥大したものが原因となっている場合があり、男性不妊症の30~40%に見られるという[注2]。顕微鏡を用いて精巣の静脈を縛って固定する手術で精子所見が改善し、妊娠につながるケースもある。

「男性の約10人に1人は精索静脈瘤があり、あっても症状が出ない人もいます。ただ、精索静脈瘤を手術で治すと精子の状態が良くなるというデータも多く出ています」(小堀さん)

また、無精子症の中には、精巣で精子がつくられにくい「非閉塞性無精子症」の場合と、精子の通り道である精管が生まれつきなかったり、性感染症で精管が詰まっていたりするなどの理由で、精子はつくられているのに出てくることができない「閉塞性無精子症」の場合がある。精管をつなぎ直す手術(精路再建術)をすることもあるが、できない場合はTESE(Testicular sperm extraction, 精巣内精子採取術)といって、陰のうの皮膚を小さく切開し、直接精巣から精子を取り出した後、顕微授精をする例が多いそうだ。

精索静脈瘤の手術、精路再建術、TESEといった手術は、泌尿器科領域の生殖医療専門医が行うが、まだ専門医の数が少なく、限られた医療機関でしか行われていないのが現状だ(泌尿器科領域の生殖医療専門医は日本生殖医学会のホームページで調べることができる。http://www.jsrm.or.jp/qualification/specialist_list.html)。

■男性不妊症の治療3~射精障害の場合

造精機能障害の次に多い男性不妊症の原因が「性機能障害」だ。勃起障害の場合はPDE5阻害薬(バイアグラ、レビトラ、シアリスなど)による薬物療法が第一選択となり、これで改善する人が多い。

一方、「最近、気になるのは射精障害です」と小堀さんは言う。マスターベーションでは射精できても、セックスで射精できないという腟内射精障害が不妊治療の現場でも問題になるという。

[注2]平成27年度厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究」では、造精機能障害のうち30.2%が精索静脈瘤だった。

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL