ただし、前述のように著作権保護用のチップが完成していないので2019年度内までは暫定的に後から付ける形でも認めるという特例ルールが作られた。東芝はこれを活用するのである。リスクがないとは言えないが、それよりも他社に先行することを選んだ。

今期のテレビの価格を見ると、東芝製品は他社よりほんの少し高めの値付けになる店が多いと聞いている。しかし、外付けのチューナーは4万円程度かかるとみられているので、4K放送を受信する前提で考えればトータルでお買い得である。

17年は本社の経営状態の問題から、東芝のテレビ事業は厳しい状況に置かれた。今年は「東芝ブランド」でありつつも、中国資本のハイセンス傘下での再出発の年だ。そこで「違い」を目立たせるためにも、積極策を示す意味でも、チューナー内蔵で勝負に出た――というところではないだろうか。

音声は検索から「アシスタント」へ

最後に、もうひとつトレンドに言及しておきたい。それが「音声」だ。17年秋以降、スマートスピーカーによって「音声で機械に命令を与える」という機械との付き合い方が広がってきた。この傾向は、今後スピーカーを離れ、様々な家電に広がっていく。

そのひとつが「テレビ」だ。2年ほど前から、テレビには「音声検索」機能が組み込まれている。これはかなり好評に受け入れられており、各メーカーの利用統計によれば「使う人はほぼ確実に、毎日1回以上音声検索をしている状況」なのだという。ここに「音声アシスタント」の機能が組み込まれると、検索対象はテレビ番組だけでなくなる。ネットの情報を自由に検索できるようになるし、録画や画質モードの切り換えといった、面倒な操作を音声で、より簡単に扱うことができるようになる。複数のテレビメーカーの開発者が口をそろえて「リモコンの複雑さや機能の複雑さの対策になり得る。高齢者や機械が苦手な人に、今の高度なテレビの機能を使いこなしてもらう助けになる」と期待しているほどだ。

ソニーとシャープは、テレビに組み込まれているOSである「Android TV」のバージョンアップにより、音声検索から「音声アシスタント」に進化させる計画だ。LGエレクトロニクスは、自社の音声AI技術「ThinQ AI」のテレビ対応を進め、日本でも夏以降に、各種音声対応を進めていく計画である。東芝は、テレビにこそ音声アシスタントは組み込まないものの、Googleアシスタント搭載のスマートスピーカーと連動し、スマートスピーカーに「テレビの音量を下げて」「チャンネルを変えて」といった命令を伝えると、テレビの側が動作するようにする、としている。

LGエレクトロニクスはAIプロセッサーをテレビに搭載してきている

これらの機能は、すべてが販売時から対応しているわけではなく、後日アップデートで対応する部分もある。また、最新モデルだけでなく、過去のモデルでもソフトウエアアップデートで対応する場合もある。アップデート通知やニュースに、しばらく注目していただければ、と思う。

西田宗千佳
フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。
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