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老親の自転車事故リスク 個人賠償責任保険で備える

日経マネー

2018/5/18

画像はイメージ=123RF
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 自転車による重大事故を起こした高齢者、その半数以上が個人賠償責任保険に加入していない──。警察庁の調査で、こんな結果が出ています。

 自分の親はどうかと気になったら、速やかに親の保険加入状況を確認してください。万が一、事故の相手(主に歩行者)が死亡したり重傷を負ったりすることになれば、子世帯(自分の世帯)を巻き込む深刻な事態になりかねません。

 他人に損害を与えたら、加害者は法律上の責任を負います。事故の規模や賠償金の額は予測できず、資力のない高齢者も責任を免れません。個人賠償責任保険は誰もが必要なものであり、入っていなければ賠償金の全額自己負担という大変な事態に陥ります。

 認知症などで加害者に責任能力がなければ、本人に責任は生じません。ただしこの場合、監督義務者が監督責任を問われることになります。子が親の監督義務を負っていれば、子自身が責任を問われることにもなるのです。

 個人賠償責任保険があれば、生活上の偶発的な事故で他人に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った時に、賠償金や裁判費用をカバーできます。火災保険や自動車保険、共済などとセットで入れば、保険料は年間1000~2000円程度です。どんな補償があるか、また高額賠償に対応できる保険金額(1億円~無制限)かどうかなどを確認しましょう。

 なお、法律上の責任を負う場合でも、人やものに実害が生じていないと補償は受けられません。2007年に認知症の男性が線路内に立ち入り死亡した事故で、鉄道会社が遺族に請求したのは電車の遅延損害費用でした。こうした間接的な損害は補償されません。ただ中には、遅延損害を特約でカバーできる損保会社もあります(三井住友海上火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険の「電車等運行不能賠償追加型特約」)。

■自然災害への備えも確認

 もう一つ心配なのが火災保険です。高齢者の8割は持ち家世帯ですが、内閣府によれば、火災保険・共済に入っているのは持ち家世帯の8割止まりです。さらに自然災害が頻発する中、水災補償のある世帯は7割弱、地震補償のある世帯は5割強にすぎません。

 災害は個々の人生プランに途方もない影響を及ぼします。特に高齢者は、自己資金で住宅を再建したり、ローンを組んだりするのが困難で、資金の問題から暮らしを大きく変えざるを得ないことが少なくありません。保険金を受け取れれば、暮らし方を選択できる可能性も出てきます。住まいに困難を抱えがちな高齢者こそ、保険の必要性はより高いといえます。

 住宅ローンの完済時に長期火災保険が切れたまま、保険に加入していない人もいるようです。離れて暮らす老親の火災保険がきちんと契約されているか、居住地のリスクに応じた地震や風水害の補償が確保できているか、確認が必要です。正月や彼岸などで実家に戻った機会を捉えて、保険の情報もぜひ共有しておいてください。

清水香
 生活設計塾クルー。学生時代から生損保代理店業務に携わり、2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。翌年、生活設計塾クルー取締役に就任。『地震保険はこうして決めなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。財務省「地震保険に関するプロジェクトチーム」委員。

[日経マネー2018年6月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 6 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)

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