グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

World Food Watch

イクラの漬けやカラスミ ギリシャ土着ワインの好相性

2018/5/17

今注目のワイン産地、ギリシャ・サントリーニ島

 紺ぺきの海を臨む、強い陽光に輝く白い壁の家々が並ぶサントリーニ島。エーゲ海に浮かぶ大小6000ほどの島々の中でも、特に観光地として人気が高い島だ。ギリシャ最古の文明が栄え、神話の舞台となったキクラデス諸島の一部で、高級ホテルやレストランがにぎわいを見せる。少し前には、女優の竹内結子さんを起用したサントリーのビールのCMのロケ地ともなったので、冒頭の島の様子をご記憶の方も多いだろう。

 実は、この島では世界でもほかに例を見ない変わったワイン用のブドウ作りをしている。日本でよく見るようにブドウを棚に作ったり、海外で一般的なブドウの木を垣根のように並べて栽培したりする光景はサントリーニ島では見られない。なんと、1本1本を籠のような形にして栽培するのだ。

 こんな風変りな栽培方法をとるのは、海風が非常に強く、ほかの方法では栽培できないため。木を高く育てることができないので、枝をくるくると巻き籠状に仕立てるというわけ。

サントリーニ島独特のワイン栽培法 ワインの木を籠型に仕立てる

 サントリーニ島は島全体が活火山の島。三日月型をしていて、内湾が噴火口になっている。つまり、海中に噴火口があるという珍しい地形だ。島は火山灰とごつごつとした石に覆われていて、年間雨量はたった200ミリ程度らしい。砂漠のように乾燥した土地だが潅漑(かんがい)はせず、毎朝霧が立ち込めるため、その水分でブドウが育つのだという。荒々しい土地にコロンとした籠型のブドウの木が点在する姿は、異世界を見ているようだ。

 ヨーロッパのブドウは、フィロキセラという害虫により19世紀以降壊滅的な被害を受けた。サントリーニは火山灰に覆われた土地がフィロキセラを寄せ付けなかったことで被害を免れ、古い木が生き残り、根の部分は数百年前のものもあるという、ワインの歴史の「生き証人」のような土地でもある。

 ワインの世界では長らく、赤のカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノノワール、白のシャルドネといった、数種の国際品種と呼ばれるものに人気が集中していた。

 「10年前は、フランスだけでなく世界中どこに行っても、『じゃあ、カベルネ・ソーヴィニヨンを飲もうか』なんて風に人々は言ったものです」と言うのは、英国の認定組織によるワイン業界において最も名高い資格マスター・オブ・ワインをギリシャで初めて取得した、ギリシャのワイン商社アイオロス社のコンスタンティノス・ラザラキス氏だ。

 続けて、「今では消費者がもっと新しいもの、違う味わいのワインを求めて地場品種に目が向くようになりました。ギリシャは、生産量はフランスなどには及びませんが特殊な地場品種が多く、味わいにバラエティーがある。ここ10年で市場が大きく変わりました」。5000年以上のワイン作りの歴史を持ち、「エノホイ」と呼ばれる世界初のソムリエ誕生の地であるギリシャには、約300種の地場品種があるらしい。

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL