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あのホームラン、別の角度で何度も パ・リーグで配信 プレーから5~10分後には視聴可能に

2018/5/19 日経MJ

パ・リーグTVのマルチアングルVODの画面。複数のカメラから映像を選択できる

 パ・リーグ6球団の共同事業会社パシフィックリーグマーケティング(PLM)のインターネット中継「パ・リーグTV」が、ハイライトシーンをさまざまな角度で表示する視聴サービスを開始した。始まったばかりだが、シーズンの開幕3連戦で視聴者の1割が利用するなど出足は好調。競合サービスにはない独自コンテンツで、視聴者獲得につなげる。

パシフィックリーグマーケティングの映像配信を制御する編集室

 豪快なホームランや華麗なグラブさばきの捕球と送球。マルチアングルVOD(ビデオ・オン・デマンド)に切り替えると、いつでも一部のハイライトシーンを再生できる。これまでのテレビ中継とは異なるのは、球場にある5~8台のカメラを切り替えて、様々な角度から同じシーンを再生できること。「ずっと見続けてしまう」。SNS(交流サイト)でも歓迎する声が見られた。

 マルチアングル化が実現できた背景には「意外な盲点だったが、どの球団も同じメーカーで同一規格の映像配信システムを使っていた」(PLMの荒井勇気マーケティング室長)ことがある。

 6球団がスポーツ映像の配信のフォトロン(東京・千代田)の配信システムを使っており、マルチアングル用の映像送信用サーバーを1つ加えることで対応できた。ただ、3球団はシステムの仕様が古かったため、当面は札幌ドーム、ZOZOマリンスタジアム、ヤフオクドームの3球場からのみで対応する。

 配信の仕組みはこうだ。ファインプレーがあったときにPLM側から球場にマルチアングル化したいシーンの開始時間と終了時間を伝える。球場側のサーバーは複数カメラでとらえた映像を専用のネット回線でPLMに届ける。その後、PLMの編集室でデータを変換して公開する。ファインプレーが発生してから5~10分後には視聴できる状態になる。

 PLMは「パリーグファンを増やすことが目的」(荒井室長)として、同じネット配信サービスのダゾーンや楽天TVにも映像を配信している。一方で、パ・リーグ公式サービスとしての独自性や優位性も訴えていく。他サービスとの競争が高まる中で、7万人の登録者を引きつけるためにマルチアングルのほか、今シーズンは画質の向上や独自アプリの強化にも取り組む。

 今後は選手の評価や分析ができる統計データを見せるサービスや、人工知能(AI)で試合概要のレポートを即座に表示する機能の開発なども視野に入れる。

 米国のメジャーリーグと比べて日本のプロ野球はIT(情報技術)化が遅れていると指摘されてきた。サービス間の競争でマルチアングルなど新技術が広がれば、海外との視聴体験の格差も縮まりそうだ。

[日経MJ2018年5月14日付]

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