グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

Food Selection

記念日より毎日の食を大切にしたい 兼子シェフの流儀 ガストロノミー最前線(7)

2018/5/29

フレッシュズッキーニとテット・ド・モワンヌのサラダ

 無駄を省き、シンプルなスタイルにして、コストパフォーマンスを上げる。現代人の生活にフィットするスタイルを生み出す。兼子大輔シェフの仕事の領域はレストランのシェフから食生活のプロデュースへと広がりつつある。

 2012年2月の開業以来、2年おきに新店を立ち上げ、2016年時点で3店舗を営む。すべて異なる業態で、いずれも独自性が高い。それらを見ていて思う、兼子大輔シェフは仕組み作りがうまい、と。

 1店目のフランス料理店「ラス」(東京都港区)はオープンまもなく予約の取れない店になった。3週間ごとにメニューが一新される5000円のお任せ1本。調理スペースと客席が一体化した空間で、客はテーブルの引き出しに収められたカトラリーを自ら取り出して使う。2店目の「コルク」はワイン主導の店だ。まずワインを選ぶ。と、選んだワインに合う料理が自動的に付いてくる。ワインありきのシステムがユニーク。どちらもレストランの晴れがましさとシャレ感がありながら、価格帯の手の届きやすさは一緒である。

東京ミッドタウンにオープンしたデリ「レシピ&マーケット」のリゾットやサラダ。視覚的にも味覚的にもクオリティーが高い

 可能にしているのは、空間、人材、食材などのロスを取り払ったオペレーションの精度の高さだ。そこを兼子さんはとことん突き詰め、コストパフォーマンスを上げていく。

■記念日に興味がない

 そして16年3月、兼子さんは、テークアウトとイートインから成るデリ「レシピ&マーケット」をオープンさせた。場所は東京ミッドタウン。10坪の店先に並ぶガラスのキャニスターや紙容器には、フレンチの技を駆使したリゾット、スープ、サラダが詰まっている。個々に調味されたとりどりの具材、凝固させて角切りにした濃密なソースがフォトジェニックだ。リゾットはレンジで温め、スプーンでよく混ぜ合わせて食べる。すでに毎日買いに来る常連もいる。

<料理解説>
「フレッシュズッキーニとテット・ド・モワンヌのサラダ」。スイス・ベルン州のチーズ、テット・ド・モワンヌとバナナのねっとりした食感同士を合わせ、カルダモンの風味をプラス。ズッキーニの青々としたフレッシュな味わいとのコントラストが新鮮

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL