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2020フォーラム

五輪で始まるスポーツ技術革命 観戦・技も新ステージ 第3回日経2020フォーラム、JXTGエネルギー杉森社長ら講演

2018/5/14 日本経済新聞 朝刊

日経2020フォーラムで講演したJXTGエネルギーの杉森務社長(左)と富士通の山本正已会長

 日本経済新聞社は4月23日、2020年の東京五輪・パラリンピックと技術の発展をテーマにした「第3回日経2020フォーラム」を東京・大手町の日経ホールで開いた。JXTGエネルギーの杉森務社長と富士通の山本正已会長が講演したほか、スポーツにデジタル革命の成果など最新テクノロジーをどう生かしていくべきかについて活発に議論を交わした。

■水素活用した街づくり

JXTGエネルギー社長 杉森務氏
JXTGエネルギーの杉森社長

 当社は次世代エネルギー事業に挑戦しています。水素は使用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンなエネルギー。燃料電池と組み合わせれば高いエネルギー効率を実現できます。次世代を担うエネルギーとして供給ラインアップの一つに据えてきました。

 燃料電池車(FCV)は1回の水素充填での航続距離が電気自動車(EV)よりも長く、充填時間も圧倒的に短いことからエコカーとして期待されています。国内の登録台数は約2400台にとどまりますが、水素ステーションの整備との相乗効果で大きく普及が拡大するものと思われます。

 ガソリンと同じように誰でも不便なく水素を充填できるように水素ステーションを整備していくことが私たちの使命です。JXTGエネルギーは国内最大の1万3千カ所以上のサービスステーション(給油所)を展開しています。将来的にはガソリンと軽油、そして水素も扱うマルチなサービスステーションとして、新たな車社会を支える拠点になると考えています。

 水素ステーションは四大都市圏に40カ所あり、日本全体の4割に当たります。FCVの普及に合わせて展開エリアも水素ステーションの数も増やします。

 東京2020大会に向けてゴールドパートナーとなりました。契約カテゴリーで表記上は石油ガス、電気供給とありますが水素はガスの中に含まれており、オリンピック・パラリンピック史上初めて誕生したカテゴリーを獲得しました。

 大会関連の車両や施設および発電設備などに燃料を確実に供給し、大会の成功に貢献していきます。前回1964年の東京大会において(JXTGエネルギーの前身企業が)聖火台や聖火リレー用のトーチに使う燃料を供給した実績があります。

 今回は(東京都の)晴海の選手村地区で水素ステーションの設置・運営を行うことになりました。大会中は大会車両を中心に水素供給を行い、大会後においても、周辺施設に水素供給を続ける画期的な事業を展開していきます。

 選手村のエリアは大会後、低炭素化、省エネ、災害対応の3つの観点から水素を活用した先進的な街に開発されます。私どもの水素ステーションが車両だけでなく、集合住宅や商業施設の燃料電池にも水素を供給する拠点となります。水素の黎明(れいめい)期を支え、日本のエネルギーの一つとして位置づけられるように、長期的な視点から水素事業に取り組みます。

杉森務
 1955年石川県生まれ。一橋大商卒。79年日本石油(現JXTGホールディングス)入社。14年JX日鉱日石エネルギー社長、17年JXTGエネルギー社長。

■先進技術が変えるスポーツ観戦

富士通会長 山本正已氏
富士通の山本会長

 情報通信技術(ICT)の発展でスポーツに大きな変化が表れています。従来、企業とスポーツの関わりは企業の社会的責任(CSR)活動の一環と捉えられることが多かったですが、他分野で培った技術を応用することで、スポーツや関連産業の促進に大きく貢献できるようになりました。

 スポーツは経済に大きなインパクトがあります。グッズ販売や観戦ツアーなどを含んだ市場規模は現在、約5.5兆円と試算されています。政府はこれを2025年に15兆円に拡大することを目指しています。日本経済の起爆剤として強く期待されており、富士通はスポーツ産業に貢献していきたいと考えています。

 例えばセンシング技術です。富士通は国際体操連盟や日本体操協会と採点システムの共同開発に取り組みます。選手に3次元(3D)レーザーを当てることで動きを把握し、人工知能(AI)がフォームを判定します。選手にマーカーやセンサーを付ける必要はありません。実際の選手の動きを色々な角度から確認することができます。

 スポーツを新しいエンターテインメントとして次世代の観戦体験も提供したいと考えています。18年1月に熊本県で開いたバスケットボールBリーグのオールスター戦では約1300キロメートル離れた東京でも楽しめる「ライブビューイング」イベントを実施しました。

 コートに設置したセンサーで選手の動きやボールの振動を計測し、映像に変換してプレーの迫力を拡張する技術を用います。ドリブル音や足音など、あらゆる音をリアルタイムで再現する試みです。音や振動を体で感じることができるので、試合の臨場感を楽しむことができます。

 開催地以外の会場にも観客を入れられれば収益を増やせます。全国の競技施設に多くのファンが集まるようになると、チームは質の高いイベントを開催するようになります。注目度を高めることで選手のモチベーションを向上させ、スター選手を生み出すといった正のスパイラルができることを期待しています。

 マーケティングにも活用します。あるプロ野球球団はチケットの価格付けで実験をしました。来場者情報や時間、曜日、天気、出場選手のデータをAIで分析し、空席が見込まれるときは値段を引き下げます。逆に人気のあるイベントでは価格を上げて収益を増やすこともできます。多くの人にスポーツを見てもらいデジタルマーケティングを推進したいと考えています。

山本正已
 1954年山口県生まれ。九大工卒。76年富士通入社。05年経営執行役パーソナルビジネス本部長、07年経営執行役常務、10年副社長を経て社長、15年から現職。

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