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新緑輝く「森のダム」の絶景 散策したいブナ林10選

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NIKKEI STYLE

冬を耐えたブナが芽を吹き始めた。新緑が残雪の春山に輝く。
森深く老木が枝を広げ、夏は深緑、秋は紅葉に山を染める。
お勧めの散策ブナ林を山歩きのガイド、写真家ら10人に聞いた。

「雪紅葉」という言葉を、秋田白神ガイド協会会長の斎藤栄作美さんから初めて聞いた。冬の間、ブナの芽は赤褐色の殻に固く覆われている。それが芽吹きとともにはじけ、音も無く舞い積もる。「ブナ林の雪原が薄赤く染まる光景はこの時期ならでは。今年はいつもより早いようです」とガイド歴30年のベテランは大木を見上げた。

ブナはかつて北海道から九州まで全国に分布していた。特に東日本の日本海側の多雪地帯に多く、風雪に耐え身をよじる古木は、すごみすら感じさせる。ブナは「森のダム」とも言われる。ため込んだ雨水を徐々に放出をして森に潤いを与え、その恵みは動物や人間にもおよんだ。

ただ、木材としてはねじれやすく柔らかいなど、使い勝手はあまり良くない。戦後は大量に伐採され杉やヒノキの植林に。高山の少ない西日本では規模の大きなブナ林はほとんどなくなった。

心身ともにリフレッシュするブナ林の散策だが、山深くにあることが多く、自然災害などの影響を受けやすい。事前に最新情報を確認し、装備をチェックした上で、安全な散策を楽しみたい。

10位 天水越(あまみずこし) 290ポイント
歩きやすく家族連れにも安心 (新潟県)

長野と新潟県境の尾根を結ぶ信越トレイルの終点に広がるブナの純林。豪雪地帯の風土に耐えた複雑な形のブナが多く、「未来に残したい日本の自然100選」にも選ばれた。「春は残雪とブナ若葉が輝くほどの美しさ。冬の間、雪に磨かれた幹は白さを増している」(鈴木澄雄さん)。「峠から天水山の山頂までは全山ブナ。巨樹が多く、トレイルルートとして整備されているので家族連れでも安心して歩ける」(金森康夫さん)。ブナの林が蓄えた雪解け水が潤す棚田は、山間集落のもう一つの魅力になっている。

(1)北越急行まつだい駅(2)十日町市観光協会(025・757・3345)

8位 カヤの平高原 300ポイント
植物の宝庫 森林セラピー基地に認定 (長野県)

スキー場で知られる長野県木島平村の標高1500メートル付近には高原が広がる。樹齢300年を超えるブナの原生林があり、総合案内所を中心に湿原、高標山などを結ぶ、トレッキングコースが複数ある。アップダウンがなく歩きやすい。森林セラピー基地にも認定された。「ブナ林の遊歩道は緩やかで新緑の中をくぐり抜けていく感覚。ブナの木の太さや混み具合など様々な表情を見せてくれる」(井田秀行さん)。北ドブ、南ドブと呼ばれる湿原は貴重な植物の宝庫。7月にニッコウキスゲの群生が咲き乱れる「北ドブ湿原までぜひ足を伸ばしてほしい」(同)。

(1)JR飯山駅(2)木島平村観光協会(0269・82・2800)

8位 浅草岳 300ポイント
雪渓美しく 溌剌とした森 (新潟・福島県)

豪雪地帯の新潟県魚沼市と福島県只見町にまたがる浅草岳は山頂部に咲くヒメサユリで知られるが、中腹にはブナ林が広がる。人の手の入らない手つかずの自然環境や豊富な動植物が評価され、2014年にはユネスコのエコパークに指定された。

「福島県側の入叶津登山口から登れば、短時間で中腹のブナ林に到着できる。大きな母樹の周りには、幼木や青年木が生育し、各世代がそろった原生の樹林になっている」(鈴木さん)。山頂部には比較的遅くまで残雪がある。「初夏に登ったところ、雪渓に出るまでが、明るいブナ林だった。森がみずみずしく溌剌(はつらつ)としていたので、疲れ知らずだった」とみなみらんぼうさん。例年6月下旬に山開きする。

(1)JR只見駅(2)只見町ブナセンター(0241・72・8355)

7位 奥裾花自然園 310ポイント
80万本超のミズバショウも (長野県)

長野県の西北端の旧鬼無里(きなさ)村に、長野県が自然保護のために整備した自然園。樹齢300~400年のブナやトチの原生林が見事で、林が囲む周囲1キロの今池には80万本を超えるミズバショウが群生し、尾瀬を上回る規模があるという。「何百年もの長い風雪に耐えてきたブナが湿原に清流を生み、水生植物を育てている」(竹田賢一さん)。「散策路は比較的緩やか」(井田さん)で、初心者も歩きやすい。「古代にはナウマンゾウが闊歩(かっぽ)していたという。まさにロマンチックゾーンである」(みなみさん)

(1)JR長野駅(2)鬼無里観光振興会(026・256・3188)

6位 美人林 340ポイント
スタイル抜群の木々が名の由来 (新潟県)

昭和の初め、一度は木炭の材料にするため伐採された跡地にブナが一斉に生えそろった。真っすぐに伸びる立ち姿の美しさからいつしか、「美人林」と呼ばれるようになった。木を見上げると「ラインダンスを見ているようだなー、と想像が膨らむ。豪雪地帯なのに四季折々のブナ林を散策できるのもここの魅力」(鈴木さん)。樹齢100年足らずの若いブナ林だけに、「若アユのようにピチピチしている。そばにいるだけで風の音がしなやかなのがわかる」(みなみさん)。林の中は「下草がほとんどなく自由に散策できる。幹は抱きつくにはちょうど良い太さで、ホッと心が休まる」(井田さん)。

(1)北越急行まつだい駅(2)十日町市観光協会(025・757・3345)

ランキング上位は次ページに

5位 鍋倉山 370ポイント
400歳「森の巨人」がシンボル (長野・新潟県)

長野県最北部の新潟県境にそびえる鍋倉山は、ほぼ全山がブナ林に覆われている。バブル期にはスキー場など大規模なリゾート開発計画が持ち上がったが、地元の反対で自然が守られた。

「豪雪地帯なので純林が広がっている。春には残雪が多く、締まった雪面を自由に歩ける。幹の根回り穴の大きさや、落下した冬芽の殻で赤くなった雪面に驚く」(鈴木さん)と楽しみは多い。この山のシンボルは「森の巨人たち百選」(林野庁)にも選ばれた推定樹齢400年の「森太郎」(写真)。登山コースは健脚向きだが、麓の「なべくら高原森の家」の周辺は「ブナ林ビギナーにイチ押し」(井田さん)だ。

(1)JR戸狩野沢温泉駅(2)信州いいやま観光局(0269・62・3133)

4位 三頭山(みとうさん) 380ポイント
都心からもアクセス良く (東京都)

東京にも立派なブナがある。奥多摩の三頭山は「江戸幕府により禁伐とされ、巨木が多く残されている」(平田謙一さん)。「都心から最も近いブナ林で、公共交通機関で行ける」(関根茂子さん)。

山の東面は「檜原都民の森」として整備されている。道標や案内板があり休憩舎も多い。森林館を起点に山頂を周遊するブナの路はハイカー向け。西側の鶴峠から山頂を目指せば「巨樹が多く写真にもなりやすい」(金森さん)。好天時は山頂から富士山が望める。

(1)JR武蔵五日市駅(2)東京都檜原都民の森管理事務所(042・598・6006)

3位 伯耆大山(ほうきだいせん) 390ポイント
開山1300年 山岳信仰の霊山 (鳥取県)

中国地方の最高峰である伯耆大山。中腹には西日本最大のブナ林が広がる。古くからの山岳信仰の霊山で、今年は開山1300年の年。記念イベントが数多く開催される。奈良時代創建の大山寺周辺を回る僧兵コースには古い寺院や宿坊の跡が点在し、かつての繁栄を偲ばせる。

「登山道の巨木を見上げたり、山を走る道路沿いのブナのトンネルをウォーキングするのもお薦め」(加藤智二さん)。「県道45号線の鍵掛峠の駐車場からは大山の山麓に広がるブナの原生林と大山の荒々しい山容が望める」(山梨勝弘さん)。秋になれば「広い山裾に、ブナ、カエデなど広葉樹の林が広がり、紅黄葉や新緑が楽しめる」(竹田さん)。

(1)JR伯耆大山駅など(2)大山町観光案内所(0859・52・2502)、「大山開山1300年祭」実行委員会(0859・31・9371)

2位 玉原(たんばら)高原 420ポイント
首都圏近く「小尾瀬」で風感じる (群馬県)

群馬県北部にある玉原高原は、「首都圏からも近く、比較的手軽にブナの森を観賞できる」(平田さん)。玉原湖に近いセンターハウスに駐車場があり、散策路や登山道が整備されている。巨木が林立する標高1300メートルの平らな場所は「ブナ平」と呼ばれ、ほぼ純林で生育。熊が爪痕を残したブナも見られる。「遊歩道をゆっくり歩けば、林を通り抜ける爽やかな風が肌に心地よい。ブナの実の当たり年の翌年には、林床に足の踏み場もないほどブナの子供が芽生えてくる」(同)。コケに覆われた枯れ木が、石像のように見える「ブナ地蔵」も見ものだ。

ブナ林に囲まれた玉原湿原は「小尾瀬」とも呼ばれる。木道整備のため立ち入りは一部に限られるが、春から早秋にかけてミズバショウなど数十種類の湿原植物が咲く。「その湿原の入り口近くにはブナの湧き水があり、すこぶるうまい!」(みなみさん)

(1)JR上毛高原駅(2)沼田市観光協会(0278・25・8555)

1位 白神山地 650ポイント
世界最大級の天然林が圧倒 (青森・秋田県)

日本初のユネスコ世界遺産に登録されてから今年でちょうど25年になる。青森、秋田県にまたがる山地は都市部から遠く離れ、手つかずのブナ天然林が世界最大級の規模で残った。その面積は遺産地域だけで1万7000ヘクタールもある。7市町村にまたがり、初心者向けの散策ルートも数多い。

「青森県西目屋村のアクアグリーンビレッジには1周2キロのブナ林散策路がある。津軽峠からは白神山地が望め、近くにはブナの大木のマザーツリーがある」(山梨さん)。日本海側の青森県深浦町から白神岳を目指せば、「東にはブナにおおわれた山の連なり、西には日本海に沈む夕日」(鈴木さん)を見ることもできる。深浦町の青池は「『ブナの森の宝石』と呼びたい」(みなみさん)。

秋田県藤里町では今年、地元登山ガイドが案内するブナ林散策や自然観察会など25周年記念のエコツアーを数多く開催する。ただし、「自然保護のための入場制限や山道経路の制限がある」(中野和夫さん)ほか、道路の開通や登山道は気象・積雪状況に左右されるので事前確認が必要。本格コースに踏み入れるなら地元のガイドを依頼したい。

(1)JR弘前駅、二ツ井駅など(2)白神山地ビジターセンター(0172・85・2810)、白神山地世界遺産センター(0185・79・3001)など

◇  ◇  ◇

ランキングの見方 数字は、点数。ブナ林のある山域名と所在地。(1)主な最寄り駅、(2)問い合わせ先。写真は2、3、6位岡田真、4位金森康夫、7位山梨勝弘撮影。1位秋田県藤里町、5位信州いいやま観光局、8位只見川電源流域振興協議会(浅草岳)、8位木島平村観光協会(カヤの平高原)、10位十日町市観光協会の提供。

調査の方法 国内のブナ林の分布や登山・散策ルートに詳しい専門家への取材を基に28のブナ林を事前にリスト化。初心者を前提に、ブナ林を楽しむ多様なコースが設定されている、危険な箇所が少なくコースの難易度も高すぎない、現地への交通手段が整っているなどの観点から1~10位の順位をつけてもらい、集計した。

今週の専門家 ▽井田秀行(信州大学准教授)▽加藤智二(好日山荘登山学校校長)▽金森康夫(山岳紀行家)▽鈴木澄雄(ブナの森写真工房写真家)▽関根茂子(新ハイキングクラブ会員)▽竹田賢一(新ハイキング前編集長)▽中野和夫(関西ハイク山友会)▽平田謙一(登山ガイド)▽みなみらんぼう(シンガーソングライター)▽山梨勝弘(風景写真家)

[NIKKEIプラス1 2018年5月12日付]

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