2018/5/15

異動でやりたいこと発見 ~日色保社長に聞く~

――有志社員によるWLIの活動がユニークです。

非常に特徴的だと思う。トップダウンと制度は多様性尊重の方向づけに必要だが、同じくらいの力でボトムアップの組織が動いている。意識が高まり偏見を持たない土壌ができてきた。ただ、ダイバーシティは環境整備に過ぎない。一番こだわるのは人材育成だ。

――人材育成のポイントは異動のようですね。

日色保 ジョンソン・エンド・ジョンソン社長 

やったことがないことをやらせることが人を育てる。特に女性は若いうちにいくつか経験させると効果的だ。そのうちに自分のやりたいことが分かり、30歳前後で結婚や出産などライフイベントを迎えた際も、どう続けていくかを考え残ってくれる。それがないと辞めてしまう。

キャリアの幅を広げる材料には事欠かない。海外のグループにも手を挙げられる公募制やクロスセクターで多様な仕事を提供できる。メディカルカンパニーでは、13年から特に能力の高い入社3~5年の20人弱を経営幹部が皆で協議して異動させるプログラムを導入、必ず女性を入れている。

――現在の評価は。

今は5合目。職種による差が大きい。営業は女性が増えたがまだ少なくテコ入れする。女性社員の声を聞けば聞くほど個々の事情は異なり、オーダーメード対応する上司の役割が重要。個々の事情に寄り添い、一人一人がキャリアのオーナーシップを持って能力を発揮できる体制を目指す。

◇   ◇   ◇

成長へ「厳しく温かく」 ~取材を終えて~

「成長を求める人に対するサポートが厚く、チャレンジする機会がある」。そんな岸本さんの言葉が印象に残った。日色保J&J社長は10年ほど前、グループ会社のアジア太平洋地域の責任者として各地を訪問。行く先々で「意識が高くパワフルで優秀」な女性たちに出会い、日本の遅れを痛感したという。

「女性をただ増やすのではなく、ポテンシャル(潜在能力)を最大限に引き出す」と力を込める。「うちは『厳しく温かく』なんです。優しいだけでは成長しない」とも。実体験に裏打ちされた女性の能力発揮への期待感。それが女性たちに伝わり、挑戦に向かわせる素地をつくるのだろう。改めてトップの本気度が大切なことを教えてくれる。

(女性面編集長 佐々木玲子)

[日本経済新聞朝刊2018年5月14日付]

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