中古マンション価格 「成約まで90日」で下落も不動産コンサルタント 田中歩

2018/5/16
写真はイメージ=PIXTA
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2012年末まで下落基調だった東京都23区内の中古マンション価格は、13年初めから一転して上昇に転じ、これまでも上昇基調にあります。このままこのトレンドは続くのでしょうか? 23区内にマンションを買おうと考えている人、すでに所有している人ともに気になるところだと思います。今回は物件が売れるまでの日数、つまり成約日数に特に焦点を当てて、今後の中古マンション価格の動向を見通します。

在庫急増にもかかわらず価格上昇が続く

次のグラフは08年1月から18年3月までの23区の中古マンション成約単価と在庫件数の推移を表したものです。

東日本不動産流通機構「市況データ」より筆者作成

08年から14年ころまでは、在庫が増えると成約単価は下がり、在庫が減ると成約単価が上がるという、ごく自然な価格推移を見せていました。しかし、15年夏以降は在庫が急増し、さらにこの10年で最高の在庫記録を塗り替えているにもかかわらず、成約単価は下がる気配を見せていないのです。

13年以降、日銀の大規模な金融緩和によって住宅ローン金利が大きく低下したことや、株価が上昇したことによる資産効果が価格上昇を支えた要因の一つではあります。しかし、ここまでの在庫を抱えた状態で果たしてこのまま価格上昇のトレンドが続くのかどうか、少々懐疑的にならざるをえないと感じているのは筆者だけではないでしょう。

今後の動向を占う指標は?

実は今後の動向を占う指標として、売りたい価格(売り出し価格)と売れた価格(成約価格)の差、そして成約日数があると筆者は考えます。

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15年夏以降、在庫が急増