津田大介 無線給電モバイルバッテリーは便利だけど
前回、Wi-Fiルーターとモバイルバッテリーが一体になった「ZMI Battery」を取り上げたが(記事「津田大介 海外旅行必携の二刀流ガジェットは…」参照)、最近は個性豊かなモバイルバッテリーが製品が増えている。そこで、デジタル機器に詳しい編集プロダクション、アバンギャルドに、「変わり種」モバイルルーターを選んでもらって、試用してみることにした。いろいろなモバイルバッテリーを触っているうちに、僕が求める機能、そしてモバイルバッテリー選びのときに重要なポイントが見えてきた。
カメラ内蔵、扇風機、ラジオなど多種多様
実際に製品を前にすると、バラエティー豊かなモバイルバッテリーがあることがわかる。今回試用した6機種のうち、5機種は「モバイルバッテリー+特定の機能」というタイプ。カメラやマイクを内蔵したもの、扇風機やカイロとして使えるもの、ライトを内蔵し屋外で使えるもの、ラジオや懐中電灯を搭載し被災時に使えるものなど、多種多様だった。
ただこれらの「一芸」系は、モバイルバッテリーというより、「充電『も』できるアイテム」といったほうが正確だろう。本来は扇風機やライトとして使うためにバッテリーを内蔵したのだが、せっかくバッテリーがあるのだからUSBポートをつけてスマホも充電できるようにしておこう、という経緯で生まれたのではないか。
そう考えると、僕が求めるモバイルバッテリーとは別ジャンルの製品ということになる。カイロや扇風機として使っていた結果、肝心のスマホが充電できないのでは本末転倒だからだ。
ワイヤレス給電タイプは気になるが
今回試用した中で気になったのは、ワイヤレス給電の国際標準規格である「Qi(チー)」に対応したモバイルバッテリー「Power Bank Qiワイヤレス充電器」だった。最近、Qiに対応したスマホが増えている。実際、僕はいつもiPhone XやGalaxy Note8を持ち歩いているが(記事「iPhone XとGalaxy Note8 津田大介の評価は?」参照)、どちらもQiに対応している。
実際、使ってみると、ケーブルをつながなくてもいいのはやはり便利だった。ただ問題は移動中に充電したい場合だ。
スマホとモバイルバッテリーが接触していないと充電できないので、揺れるカバンに入れておいて目的地に着くまでの間に充電しておきたいといった使い方は難しい。
ちょうどいいサイズのカバンのポケットに、スマホとモバイルバッテリーを重ねて入れるという方法も考えたが、実際に利用するとなると「ずれていないか」「本当に充電できているか」と心配になりそうだ。そう考えると、せっかくQiに対応しているのに移動中に充電したい場合はケーブルが必要になる。
ちなみに非接触状態で充電できる製品の開発も進んでいる。海外の展示会やクラウドファンディングでは製品も発表されているので、そう遠くない段階でケーブルをつながなくても充電できるようになるのだろう。
モバイルバッテリーの充電を減らしたい
今回、いろいろなモバイルバッテリーをまとめて試用したのを機に、自分が求めるモバイルバッテリーを改めて考えてみた。
僕が求めるのは何よりも容量だ。現在メーンで使っているAnkerのモバイルバッテリーは、20000mAh以上の大容量モデル。
正直なところ、1回の外出で使い切ることはない。これを持ち歩いているのは、モバイルバッテリーを充電する頻度をできるだけ減らしたいからだ。これだけ容量があれば、毎晩充電する必要はない。
今使っているビジネスリュックは小物入れが多い(記事「津田大介が仕事用リュックを新調 収納の工夫にほれた」参照)。そこで、このモバイルバッテリー専用のポケットを決めて、そこに入れっぱなしにしている。そして、ホテルなどに泊まったときにリュックから出して充電しておくのだ。こういった使い方をすれば、スマホの電池切れを心配せずに外出することができる。
カバンを替えるタイミングで見直しを
もちろん、モバイルバッテリーの選び方は人によって異なる。家に帰ったらスマホとモバイルバッテリーを一緒に充電し、翌朝、両方を持って出勤するという人なら、もっとコンパクトなモバイルバッテリーでいいだろう。
モバイルバッテリーを選ぶときのポイントは、カバンの収納ポケットに合った大きさの製品を選ぶことだと僕は考えている。
モバイルバッテリーは移動中に慌ただしく使うことも多い。筆記用具などが入ったポケットに一緒に入れてしまうと、なかなか取り出せないというケースも出てくる。だから専用のポケットを決めておくと便利なのだ。そのポケットに合うサイズのモバイルバッテリーを選べば使い勝手も向上する。
最近は専用モバイルバッテリーも様々な種類が出ている。以前に比べて、最新モデルは容量が大きいわりに本体サイズはコンパクトというものも多い。モバイルバッテリーに限らず、電池は消耗品。カバンを買い替えるタイミングで、モバイルバッテリーを見直してもいいかもしれない。
最後に今回試用したそのほかの「一芸」モバイルバッテリーを紹介しよう。自分の用途に合えば、意外に面白く使えるものもあるかもしれない。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に「ウェブで政治を動かす!」(朝日新書)、「動員の革命」(中公新書ラクレ)、「情報の呼吸法」(朝日出版社)、「Twitter社会論」(洋泉社新書)、「未来型サバイバル音楽論」(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。
(編集協力 藤原龍矢=アバンギャルド、写真 渡辺慎一郎)
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