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大型M&Aのプロが語る 舞台裏とキャリアの開き方 紀伊国屋書店大手町ビル店

2018/5/11

ベストセラーコーナーのほか、M&Aコーナーにも面陳列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

 ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店に戻る。大型連休中で営業日が少なかったせいか、売れ行きは全般的に落ち着いているが、人工知能(AI)やデジタル技術の未来予測の本は店頭での動きがいい。そんな中、金融の街、大手町らしい売れ筋として書店員が注目するのは、元M&Aアドバイザーが自らのキャリアとディール(案件)を振り返った一冊だった。

■著者はゴールドマン・サックスのM&A担当

 その本は服部暢達『ゴールドマン・サックスM&A戦記』(日経BP社)。著者の服部氏はM&Aの世界では著名な人物で、1989年から2003年まで14年半にわたりゴールドマン・サックス証券で過ごし、数々の大型M&A案件を手がけた。本書はM&Aアドバイザーとして過ごした日々の回顧録。大きなニュースにもなった様々なM&Aのスキームづくりでどんな手法を駆使したのか、案件ごとにその思考プロセスを明かしているのが一番の読みどころだが、大きな仕事をするビジネスパーソンになるには、キャリアとどう向き合えばいいのか、ひとつのロールモデルを示す本にもなっている。

 「はしがき」で著者は言う。「基本的な考え方は、『会社と自分は常に対等な関係でなければならない』というものだ」。こうした考えに基づき、著者は社費留学で米国のビジネススクールに通っている途中、会社を辞め、卒業して米国の大手投資銀行ゴールドマン・サックスに入社する。ニューヨーク本社での1年の勤務を経て東京支店へ。そこでの濃密なビジネス体験が案件ごとに次々とつづられていく。

■ビジネスのプロとしての生き方とは

 「DDI・IDO・KDD三社合併」「ダイムラーの日産自動車買収作戦」「GEキャピタルの日本リース買収」「NKKと川崎製鉄の対等合併」……。見出しを追うだけでも90年代後半から2000年代初頭にかけての大型案件が目白押しだ。M&Aアドバイザリー業務というのは、合併に関わる様々な課題を洗い出し、その課題を資金面、法務的な見地、行政判断と調整など多彩な手法・交渉を使って解決し、成約に持っていく。そのプロセスそのものを楽しむかのように回想する著者の書きぶりがなんとも魅力的だ。と同時に通信から金融、素材、製薬、自動車など、ほぼあらゆる業界で起こった買収・合併の産業史の1ページをまとめて知ることもできる。

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