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細胞の活動が目前に 最新顕微鏡でのぞく生命の世界

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/5/27

ナショナルジオグラフィック日本版

 生物の細胞の観察と言えば、スライドガラスの上に載せ、顕微鏡で覗くものだった。ところが、最新の技術を用いれば、生きている細胞を高解像度でしかも3Dで撮影できる、という。これまでよりも、細胞の中で起きていることが詳しく分かるようになる撮影術が、このほど2018年4月20日付けの学術誌「サイエンス」に発表された。

 「これまでのように、ガラス越しに細胞を観察するのは、動物園にいるライオンを観察するようなもので、ありのままを見ているとは言えないものでした」。こう語るのは2014年のノーベル化学賞を受賞した物理学者エリック・ベツィグ氏だ。今回開発した超高解像度顕微鏡「フランケンスコープ」で、「ようやく細胞の真の姿を見られるようになった」とベツィグ氏は続けた。

 生体内の細胞の撮影は難しい。今回の研究で観察対象となった透明なゼブラフィッシュでも、光学的な二つの問題が課題だった。一つは、ゼブラフィッシュの表皮細胞が、透過しようとする光を拡散してしまう問題だ。内部を見ようとするほど、像がゆがんでしまう。この問題は、天体観測で使われる光のゆがみを相殺する技術を応用して解決した。

 もう一つの問題が照射する光が明る過ぎて、細胞を傷つけてしまうことだった。こちらも同氏が2014年に共同開発した技術で解決した。

 今のところ、フランケンスコープでは、透明な生物しか観察できない。人間の皮膚のように、光を通しにくい表皮をもつ生物の研究がこれからの課題だ。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年4月24日付記事を再構成]

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