クリスタル ケイ ステージの相棒は「のどアメ」
伸びやかで安定感抜群の歌声と、朗らかで親しみやすい人柄で愛される歌姫、クリスタル ケイさん。2018年4月20日から放送しているNHKドラマ10「デイジー・ラック」の主題歌「幸せって。」では、ケイさんと同世代、アラサー女子の本音を赤裸々に歌い共感を呼んでいる。
今回の取材で、ケイさんが選んでくれたモノはネックレスとワイヤレスヘッドホン、そして龍角散の「のどアメ」。ぱっと見は脈絡はないが、彼女の愛情豊かで飾らない人柄がにじむモノがたりが隠れていた。肩肘を張らない等身大のキャラクターは、彼女のモノ選びにも表れているのだろう。
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「龍角散は私のライフセーバーです(笑)」
歌が仕事の私にとって、「龍角散ののどすっきり飴」はライフセーバー、ちょっと大げさですけど(笑)。歌番組の収録やスタジオでの撮影は案外ホコリっぽいんです。歌ったり、トークをしたりする前に「喉を潤したいな」と感じたときにいつでもなめますね。ほら、実は今も(笑)。
これまでに指定医薬部外品のトローチなど、いろんなものを試してきました。でも、なめる頻度が高いせいか自然な味がほしくなって。龍角散ののどすっきり飴はハーブの風味で、なめ続けても気にならないんです。
仕事の相棒になったのは、3年ほど前から。喉の調子が悪くて、でも歌わなきゃいけないときにボイストレーニングでウオームアップをしながら、このアメをなめてたんです。すると、出にくかった高音も出るようになって救われました。歌う直前になめていて、そのままステージに出て行ったことも(笑)。それくらい頼りにしてます。
長丁場のツアーで喉の調子を万全に保つのは難しいもの。ライブ前日は、白湯を飲んで、このアメを口に入れ、マスクをしてそのまま「寝落ち」なんてこともよくあります(笑)。ほとんどのコンビニで手に入るのでツアーやプロモーション先で、「やばい、忘れた」と慌てずに済むところも気に入っています。
11年間身に付けたネックレスをなくしてしまい…
もともとモノを選ぶ際、流行などにあまり左右されないタイプだと思います。自分に合うか、必要かが何よりも大事なポイントです。
肌身離さず身に着けているネックレスがあるんですが、これは2代目。かつて私のスタッフだった女性が、海外で私の名前をモチーフにしたネックレスを作って、お土産にプレゼントしてくれました。いただいたときに、私の好みをちゃんと分かってオーダーしてくれたんだなってわかって、とてもうれしかったですね。以来、11年間ずっと身につけていました。
でも、昨年その大事にしていたネックレスをなくしてしまって……。多分、フェスでだと思うのですが。私にとってはラッキーチャーム、お守りのようなものだったからすごくショックでしたね。それを知った(友人の)道端ジェシカさんが、「インスタグラムでアクセサリーを手作りしてる女性がいるよ」と教えてくれました。
早速、そのインスタを見てみたらすごくかわいくて。インスタ上で、チャームは何センチ以内がいいとか細かなやり取りをして作ってもらうことにしました。文字はアラビア語で自分の名前をいれてもらっています。日本語や英語にはないストロークというか、フォルムがすてきだなと思うし、今はこれを毎日身につけています。
初代のネックレスのように、贈ってくれる人の思いが伝わるギフトってうれしいですよね。昨年の誕生日に、マネジャーがプレゼントしてくれたBOSEのワイヤレスヘッドホンも、私のことをちゃんと「見ててくれてたんだ」って伝わる贈り物です。移動中はもちろん、ジムで走る間もずっとストレスを感じない優れもので、今やこれも欠かせない相棒です。
SNSで無理しないで
インスタグラムは便利だし、ネックレスのように実際に私を助けてくれることもあります。ソーシャルメディアは、自分らしさを発信したり、人とつながれたりするのが魅力ですが、「いいね」をしてもらいたくて無理をしている人もいるのかなと。かっこいいライフスタイルを発信するためにお金を使いすぎて、たくさんの借金を抱えてしまう若い世代がいると人づてに聞きます。それって本当に幸せなのかなって。
ドラマ主題歌「幸せって。」の歌詞も、時代をうまく映し出していると思います。ドラマの主人公は、私と同世代のアラサー女子4人。キャラの違う4人が仕事や恋愛に奮闘するリアルな姿が描かれています。最初に私がドラマのプロットを読んだ印象は、日本版ソフトバージョンの「SEX AND THE CITY」みたいだなって(笑)。彼女たちの発する言葉や思いが、歌詞に投影されているし、それに対して私自身もすごく共感できます。
「友達への『いいね』ができない」という歌い出しのように、ついつい周囲と自分を比べてしまいがちですよね。でも、それぞれ夢や目標は違うし、達成できる道筋やタイミングもまちまち。誰かが持っているモノが自分に合っているとも限りません。「幸せは競うものじゃなくて」「幸せに正しいはないから」というフレーズは歌えば歌うほどに胸にしみるし、どんどん好きになる曲です。
私が発信する音楽は、聴いてくださる人に「そうだな」って感じてもらえるような、リアリティーのあるモノでありたい。人それぞれ音楽の聴き方は違うけど、どこかしらセラピーのような側面があると思うんです。「癒やされたい」「和みたい」「つながりたい」とか。私の楽曲を聴いた人に、「これから頑張ろう」とか「リラックスできた」と感じてもらいたいし、そこに嘘は入れたくないなって。
現在、新しいアルバム「For You」を制作中で、皆さんと一緒に楽しんだり和んだり、発散できるような楽曲を詰め込んでいます。なかには今までにない歌声にチャレンジした楽曲も。切なかったりピュアだったりする歌声を好きだと言っていただくことが多いんですが、私にもソウルフルでパワフルな部分はきっとあると思うので挑戦することにしました。何十回も歌い直したりしてかなりしんどかったけど(苦笑)、頑張った先に新しい自分の表現が見えてきました。それを助けてくれたのも、やっぱり「龍角散ののどすっきり飴」でした(笑)。
1986年2月26日生まれ、神奈川県横浜市出身。1999年に「Eternal Memories」でデビュー。高い歌唱力に裏打ちされた豊かな表現力でバラードからダンスチューンまで幅広く歌いこなす。新曲「幸せって。」を含む、2年半ぶりとなるニューアルバム「For You」が2018年6月13日にリリースされる。今気になるモノは英人気ミュージシャンのエド・シーランなどがライブで使用している「ループペダル」だそう。
(文 橘川有子、写真 中川真理子)
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