――ジャパンガイドが人気サイトに成長した理由は何でしょうか。

「約20年間にわたり、良いコンテンツを提供する努力をコツコツと続けてきたからではないかと思います。サイトには、日本について討論したり、情報交換したりする『Forum』という機能があります。会員登録すると、この機能を使って質問やコメントを投稿できるのですが、ここに書かれるコメントを(運営側は)細かくチェックしています。会員間では毎月約4千件の書き込みがあり、それらを分析することで利用者の関心やニーズが分かります。そのニーズに合った記事を配信し、ニーズに合わせてサイトを改善し続けてきた結果、徐々にアクセス数、閲覧者数ともに伸びてきました」

――地道で骨の折れる作業ですね。

「ステファン氏とジャパンガイドの編集チームは、かなり根気のいる作業をしています。それをやり切れるのも、彼らの真面目さ、勤勉さのおかげです。サイトにオフィシャルコンテンツとして登録されている約1700カ所の観光地については、担当の記者が定期的に現場に足を運び、時間をかけて地道に取材をして、情報を最新の状態に更新しています。間隔を空け過ぎずにマメに更新しているのも、アクセス数が多い理由だと思います」

ライターは外注でなく正規採用

――現地を旅行した経験を踏まえた人気ランキングは、訪日旅行を計画中の人にとって有益な情報になりそうですが、これも労作ですね。

「利用者からの反応を集計して、こういった観光地の情報をこまめに更新し、掲載し続けることは相当な労力です。しかし、ここは労力をかけてでもこだわっているところです。また、ただ情報を更新するだけではなく、記事の質を上げるために記者の文章力や取材の腕にもこだわっています」

高岡氏は1700カ所の観光地の情報を更新する地道な作業がサイトの強みだと説明する

――そのために、たくさんの優秀な記者を抱えているのでしょうか。あるいは外注したりもするのでしょうか。

「外注ではなく、記者は全てジャパンガイド社で正規採用しています。採用の際には記者として優秀かどうかを見極める必要があります。ジャパンガイドのサイト内には、外部のユーザーライターが旅行記などのブログを投稿できる場所がありますから、その中で質の高い投稿をしているユーザーライターに声を掛けてリクルートする場合があります。投稿の内容はステファン氏がチェックしています」

――手堅い方法ですね。優秀な人に絞って採用するとなると、記者を急に増やすことは難しいと思いますが、そういった急拡大はしない方針でしょうか。

「はい。記者一人一人の質にこだわり、急激な規模の拡大をしないところがジャパンガイドの強みだと考えています。現在、ジャパンガイドの編集チームはスイス人のステファン氏を中心に、米国人、英国人、シンガポール人の厳選した記者で構成しています。例えば、シンガポール人の女性記者の場合、ジャパンガイドが実施した「We Love Japan Tour」というイベントの際に記者を募集して100人の応募者の中から選びました」

「高い水準でローテーションできる仕組みを作ることに徹底的にこだわり、それを20年間やってきました。記事の多さや外部への広告露出で勝負しようとした競合サイトもありましたが、長続きしていません。利用者のニーズをくみ取りながら、高い頻度で良質なコンテンツをコツコツ配信していく。こういった地道な戦略が大事だと思っています」

高岡謙二
1967年生まれ。神戸大大学院経営学研究科在学中にエクスポート・ジャパンを起業。海外向けに特化したウェブマーケティング企業の草分けとして、日本製品や日本観光の国際プロモーション活動に従事。現在、同社の代表取締役のほかジャパンガイド社外取締役、PIJIN取締役会長、インバウンド・デジタルマーケティング協議会の理事長を務める。
藤田耕司
1978年生まれ。公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商学部卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学を体系化し、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

訪日外国人が物足りないと思っている点を指摘した中編、日本の自治体や企業が作る英語サイトの残念な事例をまとめた後編もご覧ください。