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行き詰まる資本主義救う? マルクス、生誕200年で脚光

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今年は「資本論」の著者、カール・マルクスの生誕200年に当たります。日本でも、関連する書籍の出版や国際シンポジウムの開催といったイベントが目白押しです。19世紀の思想家に注目が集まっているのはなぜでしょうか。

今年1月に東京大学教授の熊野純彦著「マルクス 資本論の哲学」(岩波新書)、2月には伊藤誠著「入門 資本主義経済」(平凡社新書)が出ました。東大名誉教授の伊藤氏は日本を代表するマルクス経済学者の一人で、同書は資本論の体系を活用して資本主義経済の仕組み、特性や歴史を解説し、「資本主義はのりこえられるか」と問いかけています。

「マルクスが生まれた200年前のドイツでは急速に資本主義が広がり、資本主義や市場経済は何をもたらすのかを問われていた。発展を続けるかに見えた資本主義が行き詰まりを見せる現在、資本主義とは何か、改めて関心を集めている」と伊藤氏。混迷する現代と共通点が多い19世紀の思想に立ち返る意味があるとみています。

若きマルクスが生涯の盟友となるフリードリヒ・エンゲルスと再会し、「共産党宣言」を執筆するまでの足跡を追った映画「マルクス・エンゲルス」も4月末から公開中です。貧困にあえぐ労働者が社会を変革するためには、資本主義の仕組みを解き明かす経済理論が必要だ、とマルクスが認識する過程を描いています。

マルクス経済学が経済学界で「復活」しているわけではありません。旧ソビエト連邦は「資本家は労働者が生み出す価値を搾取している」と説く資本論を基礎に置き、社会主義国家を築きました。1991年、旧ソ連が崩壊するとマルクス経済学は退潮となり、日本の大学でも「マルクス経済学」の看板を掲げる講座はほとんど見られなくなりました。

一方、資本主義に代わる社会主義の具体的な姿を示していないマルクスの思想と、旧ソ連が国家による計画経済のよりどころとした「マルクス・レーニン主義」とは別だとの見方もあります。

マルクス経済学を基盤とする学会である経済理論学会を中心とする7つの学会は12月、「マルクス生誕200周年記念国際シンポジウム」を共同で開き、一般にも公開する予定です。全体のテーマは「21世紀におけるマルクス」。経済理論学会の代表幹事を務める法政大学の河村哲二教授は「世界で広がる経済格差、環境問題、グローバル金融危機をいかに分析し、社会経済のビジョンを描くか。研究の蓄積と成果を内外に発信する貴重な機会」と話しています。

伊藤誠・東京大学名誉教授「資本主義の乗り越え方を探るのに有効な観点提示」

「資本論」の著者、カール・マルクスの生誕200年を迎えた今、マルクスから学べることはあるのでしょうか。東京大学名誉教授の伊藤誠さんに聞きました。

――資本主義社会の現状をどのようにみていますか。

「新自由主義が広がった1980年代からほぼ40年がたち、実績を総括する時期です。この間、情報通信技術(ICT)の発展で企業はグローバルに活動できるようになり、資本主義は旧ソ連型社会主義に勝利をおさめたはずでした。ところが今、資本主義には深い危機が訪れています。特に先進諸国では超低成長、格差の再拡大、不安定性の増大に加え、少子化による人口減少や環境破壊が進み、閉塞感が増しています。日本はかつて繁栄を謳歌し、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われましたが、現在は逆方向の先端モデルになっています。どう対応するのか、日本の責任は大きいといえます」

――資本主義の「終焉(しゅうえん)」を唱える論者もいます。

「水野和夫氏のような非マルクス学派の学者が終焉論を提示しているのは、先進諸国の衰退の反映でもあり、大いに共感を覚えます。マルクス学派も同様な問題を提起していますが、マルクス学派のほうが終焉論を慎重に扱っています。水野氏は、投資のフロンティアが消滅すると利子と利潤が消滅すると主張していますが、利子率と利潤率は決定原理が異なります。実際、利子率がほぼゼロに近く、成長率もゼロに近づいている日本でも、企業の利潤はときおり過去最高を更新し、内部留保を積み上げています。マルクスの理論では、縮小再生産の状態でも利潤率は上昇する可能性を示し、資本主義のしぶとさを理解しやすいところがあります」

――2016年の米大統領選挙に向けた民主党予備選では、「民主社会主義者」を自称するバーニー・サンダース候補が若年層を中心に事前予想以上の支持を集めました。

「若年層の多くは旧ソ連崩壊後の生まれで、そのショックを知りません。むしろ、トマ・ピケティ氏による格差拡大の指摘や、サブプライム危機での銀行救済への抗議行動に共感する傾向を示しています。欧州では、緊縮財政に対する不満も増しています」

――マルクス経済学は現代経済の課題に対して有効な処方箋を示せるでしょうか。

「(現在の主流派である)新古典派経済学の枠組みだけでは、現代経済の複雑な『多重危機』を解明するには狭すぎます。資本主義・市場経済を自然な秩序とみる発想が、(実態解明の)妨げとなるからです。マルクス経済学による大きな『人類的観点』に立った考察と、これからの社会への多様な展望が求められており、世界でも日本でもマルクス経済学への関心が高まりつつあります」

――どんな構想が生まれていますか。

「資本主義の乗り越え方が、世界で話題になっています。(生活に必要な最低限の収入を国が保障する)ベーシックインカム、地域通貨、協同組合的な連帯経済といった構想を通じて『市場』と『協同性』の関係を再考し、21世紀型の社会主義と社会民主主義を模索する動きが広がっています」

(編集委員 前田裕之)

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