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行き詰まる資本主義救う? マルクス、生誕200年で脚光

2018/5/15

映画「マルクス・エンゲルス」が公開(4月28日、東京都千代田区の岩波ホール)

 今年は「資本論」の著者、カール・マルクスの生誕200年に当たります。日本でも、関連する書籍の出版や国際シンポジウムの開催といったイベントが目白押しです。19世紀の思想家に注目が集まっているのはなぜでしょうか。

 今年1月に東京大学教授の熊野純彦著「マルクス 資本論の哲学」(岩波新書)、2月には伊藤誠著「入門 資本主義経済」(平凡社新書)が出ました。東大名誉教授の伊藤氏は日本を代表するマルクス経済学者の一人で、同書は資本論の体系を活用して資本主義経済の仕組み、特性や歴史を解説し、「資本主義はのりこえられるか」と問いかけています。

 「マルクスが生まれた200年前のドイツでは急速に資本主義が広がり、資本主義や市場経済は何をもたらすのかを問われていた。発展を続けるかに見えた資本主義が行き詰まりを見せる現在、資本主義とは何か、改めて関心を集めている」と伊藤氏。混迷する現代と共通点が多い19世紀の思想に立ち返る意味があるとみています。

 若きマルクスが生涯の盟友となるフリードリヒ・エンゲルスと再会し、「共産党宣言」を執筆するまでの足跡を追った映画「マルクス・エンゲルス」も4月末から公開中です。貧困にあえぐ労働者が社会を変革するためには、資本主義の仕組みを解き明かす経済理論が必要だ、とマルクスが認識する過程を描いています。

 マルクス経済学が経済学界で「復活」しているわけではありません。旧ソビエト連邦は「資本家は労働者が生み出す価値を搾取している」と説く資本論を基礎に置き、社会主義国家を築きました。1991年、旧ソ連が崩壊するとマルクス経済学は退潮となり、日本の大学でも「マルクス経済学」の看板を掲げる講座はほとんど見られなくなりました。

 一方、資本主義に代わる社会主義の具体的な姿を示していないマルクスの思想と、旧ソ連が国家による計画経済のよりどころとした「マルクス・レーニン主義」とは別だとの見方もあります。

 マルクス経済学を基盤とする学会である経済理論学会を中心とする7つの学会は12月、「マルクス生誕200周年記念国際シンポジウム」を共同で開き、一般にも公開する予定です。全体のテーマは「21世紀におけるマルクス」。経済理論学会の代表幹事を務める法政大学の河村哲二教授は「世界で広がる経済格差、環境問題、グローバル金融危機をいかに分析し、社会経済のビジョンを描くか。研究の蓄積と成果を内外に発信する貴重な機会」と話しています。

■伊藤誠・東京大学名誉教授「資本主義の乗り越え方を探るのに有効な観点提示」

 「資本論」の著者、カール・マルクスの生誕200年を迎えた今、マルクスから学べることはあるのでしょうか。東京大学名誉教授の伊藤誠さんに聞きました。

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