アラン・ドロン、ドヌーブ… 高田賢三の名優秘話編集委員 小林明

――今ではアラン・ドロンと親友だそうですね。

取材に応じる高田賢三さん(都内ホテルで)

「僕がバカンスをよくヨットで過ごすのは『太陽がいっぱい』の影響が大きいんですよ。友人としてかなり親しくなったのは十数年前。知り合いのインテリアデザイナーがモロッコ北部タンジェに持っている別荘で開いた食事会で偶然、同席したのがきっかけです。以来、徐々に親しく付き合うようになり、文化イベントなどで一緒になる機会も増えました。すごく和食が好きで、僕がパリでサポートしている和をイメージしたレストラン『TOYO』もひいきにしてくれています。先日はジュネーブで開いた慈善イベントにアラン・ドロンが僕をメーンゲストとして招待してくれました」

A・ヘプバーンは別格、映画自体がファッションショー

――映画に登場する女性では誰が理想ですか。

「『旅情』のキャサリン・ヘプバーン、『慕情』のジェニファー・ジョーンズもいいですが、なんと言ってもすてきなのはオードリー・ヘプバーンですね。『麗しのサブリナ』『昼下りの情事』『パリの恋人』『ティファニーで朝食を』『シャレード』……。とにかく衣装が素晴らしくて別格です。デザイナーの巨匠、ユベール・ド・ジバンシィが衣装の多くを担当しましたが、映画自体がまさにファッションショー。女優として有名なミューズ(女神)は、ジバンシィにとってのオードリー・ヘプバーン、それから、イブ・サンローランにとってのカトリーヌ・ドヌーブ。これが東西の横綱じゃないでしょうか」

――賢三さんにとっての永遠のミューズは誰でしょう。

「永遠のミューズ(女神)はいない」と語る高田賢三さん(都内ホテルで)

「うーん、そうですね……。残念ながら、僕にはいないようです。僕は1人の客から注文を受けて服を作るオートクチュール(高級注文服)の仕事がどうしても苦手なんですよ。だから、不特定多数の客を相手にするプレタポルテ(高級既製服)のデザイナーになったくらいですから」

C・ドヌーブの衣装を断る、見つかった「幻の映画」の脚本

「でも一度だけせっかくカトリーヌ・ドヌーブの映画衣装のオファーが来たのに、断ってしまったことがあります。イブ・モンタンと初の共演作となった1975年公開の『うず潮』という映画でした。次のファッションショーに向けた服づくりがすごく忙しかったし、僕は器用な方ではないので、映画衣装までとても手が回らなかった。今から考えるともったいないことをしたなと思います」

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