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高齢者の財産、搾取の事例も 任意後見制度に盲点あり 弁護士 志賀剛一

2018/5/10

写真はイメージ=PIXTA
Case:32 前回のコラム「亡き夫の財産、兄には渡さない 遺言寄付で贈り先選ぶ」で、疎遠な兄に遺産が行かないようにする方法を教えてもらった者です。続けての質問ですが、夫に先立たれて子供もおらず、今後が心配です。最近は病弱で脚が悪くなり、出歩くのが大変です。頭はまだしっかりしているつもりですが、将来認知症などになるのが不安です。「任意後見」という制度があると聞いたのですが、利用したほうがよいでしょうか。

■「任意後見」と「法定後見」の違い

「任意後見契約」は、本人に判断能力があるうちに判断能力が不十分になってしまった場合に備え、あらかじめ本人が自らの意思で選んだ「任意後見人予定者」に、自分の生活や療養・看護、財産の管理に関する事務について代理権を与える契約を締結します。後見人予定者は親族でもかまいませんが、相談のケースでは弁護士や司法書士などの専門家に依頼することになるでしょう。

この契約は公証人が作成した公正証書による必要があり、契約締結後は任意後見契約が締結済みであると法務局に登記されます。その後、本人が認知症などにより判断能力がなくなった場合には、家庭裁判所が後見監督人(原則的に弁護士などの専門職の第三者が選任されます)を選任すると同時に後見が始まり、任意後見人が後見監督人の監督のもと、本人の不動産や預金などの財産の管理や処分などを行うことになります。

一方、「法定後見」と呼ばれる制度があります。これは現時点で認知症を発症しているなど、すでに判断能力が不十分となっている場合の後見制度です。

法定後見は「申立権」のある者(本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長など)が家庭裁判所に申し立て、判断能力の程度に応じて後見人や保佐人、補助人が選任されます。後見人は判断能力が欠けていることが通常の状態、保佐人は判断能力が著しく不十分な場合、補助人は判断能力が不十分な場合という区分になっています。

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