ライフコラム

リーダーが語る 仕事の装い

着こなしは己のブランド構築 経営学は「装い」に通ず 一橋大学大学院教授 一條和生氏

2018/5/13

――欧米での豊富な経験をお持ちですが、装いに影響していますか。

「ファッションは自分の生活と密着、連動しているので、そのとき世界でどこに生きているかということに深く関連していると思います。私の場合、米国留学していた1990年代に着ていたのは圧倒的に米ブランド、ポロ・ラルフローレンなどですね」

■欧州の生き方に大きく刺激

「03年には一橋大学を1年間休職して、スイスのビジネススクール、IMDで教授として勤務、当時10歳の娘や妻とともに、完全に生活拠点を現地に移しました。1年後には日本に戻らなければならなかったのですが、娘と妻はスイスが気に入り、そのまま残りました。当然、私も日本とスイスを行き来するなかで、欧州の世界に深く入っていくことになりました」

「文房具には結構、こだわる」と話す。英スマイソンのダイアリー。万年筆はパーカー

「そのときに欧州の人々の生き方に大きく刺激を受けました。それぞれが自分というものを、個を確立していて、ファッションに対するこだわりも全然違ったのです。すごいなと思ったのは、娘の学校行事のときです。パーティーがあると『スカートやワンピースなど、きちんとした装いに着替えて来なさい』と指導される。米国だとジーンズや短パンで行ってしまいます。そこは米国のカジュアルないいところなんですが、欧州ではそれは許されません」

「TPO(時、場所、場合)に応じて、どのような装いをするのか。ライフスタイルにファッションがしっかり根付いているのです。自分のスタイルを確立していて、本当に格好いい。彼らは人間としての喜びを最大限に追求する生き方をしています。そうした豊かな暮らしを、欧州で生活してはじめて知りました」

■晩さんの語らいで教養が問われる

「例えば、夕食に行くにしても、米国なら午後6時や午後7時から始まってパッパとすませてしまうのかもれませんが、欧州でしっかりとした晩さんなら、アペリティフ(食前酒)から始まり、最後のコーヒーまで3時間以上かかります。この間、文化的バックグラウンドの異なる人と、いかに楽しく会話できるか。そこで問われるのは何を話すかです。つまり、その人の教養が問われるわけです」

「こうした生き方、人生はすばらしいなと痛感しました。ある意味で、個人個人がブランドビルディングをしっかりやっているようなものですよね。欧州での生活がなかったら、私の生き方は全く異なるものになっていたと思います」

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