もちろん、年の功などとばかりにふんぞり返っているようでは困るのですが、さりとて、若手社員のようなポテンシャル採用ではありませんから、あまりに殊勝にへりくだられても、採用する側の立場はちょっと不安になってしまいます。「いいオトナ」が、面接でへりくだる姿は、面接官である経営者や事業責任者、人事担当者にとっては、「貧相」に見えるだけで魅力半減なのです。
では、どのような姿勢で転職活動に臨めばよいでしょうか。
「商談のような面接・面談」を目指す
私がこの世代の方々に常々申し上げているのは、
「面接に臨む際に、転職活動と思わないでください。商談に赴いたと思ってください」
ということです。「え、どういうこと?」と思われるでしょうか。
「さあ、いよいよ転職活動だ」と力んで面接に臨まれると、皆さん、いわゆる「自己アピール」に頭がいき過ぎてしまいます。職歴書を見れば分かるようなプロフィルを長々と話し続けたり、応募しているポジションとは関係の薄い話が多くなったり、話が抽象的だったり、結果的にかなり雑ぱくな説明で終わってしまったりするものです。
しかし、40歳代、50歳代に求められていることは、具体的な職務遂行力や専門性、それらを通じて期待できる即戦力性です。そして本来、面接に進んでいる皆さんは、平素、職場でそれらを発揮しているからこそ、現在までやってこられているはず。その持てる力をなるべく面接・面談の場でアウトプットしていただくための一つのフックが、「商談だと思って臨む」ことなのです。

また、皆さん案外気づかないのですが、面接時に自分のことを話すのに一生懸命になるあまり、相手のことを全く聞いていないケースが非常に多いです。なまじ転職活動に慣れてくると、パターン認識のようなものを身につけてしまう方もいます。まず職歴を若手の頃から話し、転職理由を話し、志望動機を話し、と、「転職活動オウム」状態で、相手の面接者がパターンと異なる質問をしたり、経験したことのないツッコミを受けたりすると、頭が真っ白、シドロモドロで撃沈という笑えない状況もしばしば見かけます。