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どちらが本物? 中国のパリ模倣都市、写真11点

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/5/13

ナショナルジオグラフィック日本版

左がパリのエッフェル塔、右が中国の天都城にあるレプリカ。米国ラスベガスのホテルにあるレプリカに次いで世界で2番目に大きい(PHOTOGRAPH BY FRANCOIS PROST)

 パリから1万キロ離れた中国浙江省の東海岸に、高さ約107メートルのエッフェル塔のレプリカがそびえ立つ町がある。凱旋門、シャンゼリゼ通り、リュクサンブール庭園の噴水、さらには建物まで、街並みはパリとそっくりだ。今から10年以上前に開発された模倣都市、天都城の完コピぶりを12点の写真で紹介しよう。

■徹底したコピーぶり

 オープン当初、天都城には居住者が少なく、ゴーストタウンと呼ばれた。現在も空き家は多いが、人口は徐々に増え、新婚夫婦が記念写真を撮りに訪れるなど、国内外からの観光客も後を絶たない。

左がパリの建物。右はよく似た天都城の建物。これらは住宅で空き家が多いが、人口は着実に増えつつある(PHOTOGRAPH BY FRANCOIS PROST)

 『Original Copies: Architectural Mimicry in Contemporary China(独創的コピー 現代中国の模倣建築)』の著者ビアンカ・ボスカー氏は、「英国やフランス、ギリシャ、米国、カナダの歴史的・地理的な土台から引き抜かれた町や村がまるごと空輸され、中国の都市の余白部にピンポイントで溶接されたようだ」と述べている。

 ボスカー氏は、この現象を「デュプリテクチャー(複製建築)」と呼ぶ。これらは低俗な模倣都市にすぎないと批判の声がある一方、中国の建築家たちは、世界の偉大な建造物を再現できることを高度な技能や技術の証だと考えている。

 「中国はかつて自らを世界の中心だと考えていたが、現在の中国は、実際にその内部に世界を作ることで、自らを世界の中心に据えようとしている」と、ボスカー氏は言う。

 中国を訪れる観光客は、一回の旅行で万里の長城や秦の始皇帝陵などの本物の文化財を見られるうえ、小さなベルサイユ宮殿やパリまで堪能できる。しかし、中国政府は、こうした西洋の複製が増えることに反対している。

■地名に外国の名前を使うのは禁止

 中国の地理調査では、40万以上の村で伝統的な中国式の地名が外国風の名前に置き換えられたり、完全に消えたりしている。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、中国は1996年以降、地名に外国の名前を使うことを禁じている。文化遺産を守るための措置だが、効果はないようだ。

 中国の民政相を務めた李立国氏は、「(中国政府は)国の道路や橋、建物、集合住宅に、外国風の名前や奇妙な名前など、変則的な名前をつけることは認めない。国家の主権や威厳を損なう名前、社会主義の基本的価値観や古くからの道徳観に反する名前は規制する」と述べた。

 次ページでは、パリの街並みと天都城を比較した写真9点を紹介する。どれくらい似ていいるか確かめてほしい。

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