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原油は大変動時代 急騰・急落に要警戒(平山賢一) 東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

2018/5/15

写真はイメージ=123RF
「原油価格はいつもはさほど注目されていないが、上昇してくると大騒ぎになる」

 ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物相場が上昇し、1バレル70ドル台を付けました。いつもはさほど注目されていないものの、上昇してくると大騒ぎになるのが原油価格です。足元の材料は米トランプ政権のイラン核合意破棄ですが、2017年後半以降、石油輸出国機構(OPEC)の減産や原油在庫の減少から、原油価格の上昇が鮮明となっています。

 原油価格はインフレ観測や金利動向に影響を与えるだけに、プロの投資家にとっても非常に重要な指標の一つです。その割には相場がこれまでどう動いてきたか知らない人もいるでしょう。今回は第2次世界大戦以降の価格推移と経済や金融市場への影響を整理します。

■原油価格はおおむね5期に区分

 原油価格の推移は、おおむね5期に区分できます。第1期は1960年代までで、米国、欧州、英国系の大手石油会社が価格を支配した時代です。代表例が大富豪ジョン・ロックフェラー氏が興した米石油会社、スタンダード・オイルです。同社は採掘・精製・販売の一貫体制を確立しましたが、11年に日本の独占禁止法にあたる法律により、会社分割を余儀なくされました。

 この分割会社数社に、英欧系の石油会社を加えて「メジャーズ」と呼びました。当時はこれらの会社が原油および石油製品の需給をコントロールしていたのです。原油価格は50年~60年代に1バレル約2.5ドル~3ドルと安定的な推移となりました。

 第2期は70年前後、原油における米国の海外依存度が高まった時期です。米国の原油生産が減少し、余剰生産設備を持つサウジアラビアなどOPEC加盟国に価格主導権を握られてしまいます。原油価格は74年には1バレル10ドルを超える水準まで上昇し、第1次オイルショックが起きました。さらに1979年のイラン革命と、1980年からのイラン・イラク戦争を背景に、原油価格は1980年には35ドルを上回りました。これが第2次オイルショックです。

 第3期は1980年代以降、各国の生産が需要を上回り、市場による価格調整が機能する時代です。原油価格は一時的に上昇する局面はあったものの、趨勢としては下落傾向で推移し、98年のアジア通貨危機をきっかけに99年には1バレル10ドル台まで下落します。

■現在はジェットコースター時代

 第4期は2000年以降、需給逼迫懸念が生じた時代です。新興国経済の拡大により原油需要が増える一方、効率化により石油精製余力が縮減されたのが背景です。特に05年には、ハリケーンがメキシコ湾岸の石油精製設備を直撃したことから、原油価格は1バレル70ドル台まで上昇。原油を巡る供給不安は08年夏まで続き、ついに一時140ドルを超えました。

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