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サッカーJ2 徳島ヴォルティスの井筒陸也選手

サッカーJ2 徳島ヴォルティスの井筒陸也選手

サッカーJ2の徳島ヴォルティスに所属する井筒陸也選手は、スポーツとビジネスを比較して考え、試合や練習に生かしているという。一方、サッカーの中にはすべての本質が詰まっているとも話す。スポーツから何を学ぶべきか、勝つことの意味とは何か。スポーツ選手との交流も多い予防医学研究者の石川善樹氏と、議論を戦わせた。(前回の記事は「プレーの先のマネジメント 見すえる異色Jリーガー」

マンUの監督が真っ先に抱き合う相手は

石川 井筒さんは大学時代に日本一を決めた試合について、控え選手や観客が喜べないのは「意味のない勝利」だったと語っています。それでは意味のある勝利、真の勝利とは何だと考えていますか。

井筒 勝つことは手段であり、目的は別のところにあると考えています。それは人によって違います。見ている人に感動を与えることが目的だという人もいるでしょうし、自分の存在を証明する手段だと考える人もいるかもしれません。勝つこと自体が目的であれば、絶対に勝たなくてはいけないでしょう。

石川 プロになると、ただ勝つのでなく、自分(たち)らしく勝つことを、より求められると思いますが。

井筒 顧客が誰か、つまり誰のために勝つか、がすごく大事だと思います。ビジネス書を読むと、どんな事業もまずターゲットを明確にせよと説いていますよね。

石川 井筒さんにとってターゲットとは? 監督、同僚、ファン、メディア、それともスポンサーですか。

井筒 普通にプレーしていると監督になってしまいがちです。監督に気に入られないと試合に出られないし、給料も上がらない。メディアにも露出しないし、そもそも自分のことを表現できません。だから、1年目は監督のことをすごく意識しました。でもそれは違うと思っています。今は、徳島県内の人やチームを応援してくれる人たちに対しては、自分たちの持つ価値を届けること。ファンではない人たちに対しては、ブログなどを通じて自分の考えを伝えていければと考えています。

石川 なぜ監督ではないと思ったのですか。

井筒 試合に出ることが目的になると、いざ出場した試合で、どんなプレーをすればいいのかわからなくなるのです。なぜかというと、監督の考えていることが全てわかるわけではないからです。監督からの評価は悪くても、自分が大事にしているプレーは大事にする。自分の価値観を大事にする方が、プレーの質は継続的に高まっていくのではないかと思うのです。もちろん、反目するのはよくありませんが。

石川 サッカーの監督については、英国のトニー・ブレア元首相の参謀役だったアラスター・キャンベル氏の著書『ウィナーズ 勝利をつかむ思考』(三賢社)に面白いエピソードがあります。英マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン元監督は、試合で選手がゴールを決めたとき、誰と真っ先に抱擁するか。チームの医療スタッフのおじさんなのです。選手たちに対して、「君たちがゴールを決められるのは、陰で支えてくれるスタッフのおかげなんだ」ということを、最もわかりやすい形で表現するわけです。

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