人付き合いがおっくうになりました
脚本家、大石静さん
5年前に脱サラし、もともと苦手な人付き合いがだんだんおっくうになってきました。同級生の友人が別の友人に、私があまり人と会いたくないらしいと言ったようで、人嫌いのレッテルを貼られてしまいました。会って心地よい人ならともかく、長年会っていない同級生とは実のところ会いたいとは思いません。5年後の同窓会が今から憂鬱です。人付き合いって、自分本位でよいですよね? それとも社会性を大事にした方がよいでしょうか?(奈良県・40代・女性)
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ご相談を読んで、あなたの解答は、あなたの心の中にすでにあると感じました。したくもない付き合いはしなくてよい。行きたくもない同窓会には行かなくてよい。あなたの心はそう決めておられますよね。
ただ、「それでいいのよ」と誰かに言われたい、と望んでおられます。私はその気持ちの方が、40代にしては子供っぽくて奇妙だと感じました。
常に他人の同意を得ないと自信が持てないのは、今の世のあしき風潮です。
誰が何と言おうと、堂々と自分のやり方で生きる。その強さが、あなたにはいささか足りないのではないでしょうか。
「好きに生きたい」「自由にしていたい」「ほっといて」と願いながら、他人の目が気になるのは、心が矛盾しています。
誰しも多かれ少なかれ、そうした矛盾した心を抱えていますので、あなたを責めているわけではありません。ただ10代、20代の子供ではないのですから、その矛盾する自分の心くらい、自覚していてもいいとは思いました。その自覚があれば、同窓会は楽しいものと信じている人とは違う、独特の感性もイキイキと輝くでしょう。「人嫌いのレッテル」さえ、見方によっては、カッコよくもなるでしょう。そういうカッコいい40代になっていただきたいものです。
参考までに、知り合いの医師の話をしますと、その医師は、脳の前頭葉の働きが衰えると、感情の抑制が効きにくくなると言っていました。
私は60代ですが、以前より気難しくなったな……と感じます。あなたはまだ40代ですから、そんなことはないと思いますが、以前は平気だった人付き合いがおっくうになったり、気難しくなったりしているとすれば、前頭葉が衰えている可能性もあります。
その先生の著書によれば、人と会話し、相手の気持ちを想像し、前頭葉をフル回転させることが若さの秘訣だそうです。
そういう考え方もあることも、最後に付け加えておきます。
[NIKKEIプラス1 2018年5月5日付]
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