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介護保険料、給与高い企業で大幅増 広がる負担格差

2018/5/13

写真はイメージ=PIXTA

 介護保険の保険料負担が増しています。要介護者の増加などで介護サービスの給付総額が膨らんでいるためです。会社員は保険料を毎月の給料から払っていますが、その金額を把握していない人もいるでしょう。介護保険料は誰がどれだけ負担し、どのように決まっているのでしょうか。

 介護保険制度では1年間に介護サービス事業者に支払う費用の総額のうち、50%相当を税金で賄っています。国、地方自治体がそれぞれ25%です(グラフ)。

 残りの50%相当は保険料として集めます。65歳以上の第1号被保険者(約3400万人)が23%分を負担。40~64歳の第2号被保険者(約4200万人)が27%分を払う仕組みです(2018年度)。

 65歳以上の場合、保険料の水準は市町村ごとに決まります。割当額を人数で割って基準額を定め、所得水準に応じた料率をかけて算出します。料率が十数段階に分かれている市町村もあります。

 基準額は3年ごとに上がり続けており、15~17年度は全国平均で月5514円でした。東京都を例に見ると、18年度からは5911円と前の3カ年より6.7%増加。介護保険制度が始まった00年度の約2倍になっています。

 40~64歳の人は、それぞれが加入する医療保険制度を通じて保険料を払っています。大企業の社員は健康保険組合、中小企業の社員なら全国健康保険協会(協会けんぽ)、公務員は共済組合です。

 健保組合などがそれぞれ負担する総額は、国が決めて各団体に割り当てています。割当額は従来、団体ごとの第2号被保険者の人数に比例する方式(加入者割)でした。人数が同じなら負担総額は同じになります。

■中小企業は負担減

 しかし17年8月以降、年収に連動する方式が新たに導入されました。総報酬割といいます。月給や賞与などの給与水準が高い団体ほど、保険料負担は大きく増え、反対に給与水準が低いと負担が相対的に少なくなる仕組みです。ただ、急激に負担が増える団体に配慮し、総報酬割は段階的に適用され、全面的に移行するのは20年度です。

 大企業の社員が加入する健保組合の現状を見てみましょう。健康保険組合連合会の集計によると、1372組合平均の保険料率は18年度で1.519%(労使合計)。前年度より0.056ポイント上がりました。報酬が月40万円の人なら月額保険料は6000円強で、200円強増えました。

 国全体の介護費用の増加と、総報酬割の一部導入が影響しています。一方、中小企業が加入する協会けんぽの保険料率は1.57%と、0.08ポイント下がりました。平均年収が大企業に比べて低い分、負担減につながっています。

 介護保険制度は、給付の総額に上限を定めていません。給付が膨らみ続ける限り、保険料負担は増えていきます。このため、介護サービスを利用する要介護認定者が自己負担する割合を高める方向になっています。現在は1~2割負担ですが、現役並みの所得がある人は、今年8月から3割負担になります。費用の膨張を抑えようと、介護予防の取り組みに力を入れる自治体も増えています。

[日本経済新聞朝刊2018年5月5日付]

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