2018/5/9

リターンをリスクで割って求めるのがシャープレシオで、数値が高いほど、リスクを取ることによって得たリターンが相対的に高かったことを意味し、効率よく運用したことになる。シャープレシオは通常3カ月以上の期間で計測する。そこで、2つ目の投資手法では3カ月シャープレシオが最大値となった投信を買い続けるようにした。

シャープレシオはリスク抑え8倍に

この手法だと、過去15年間のリターンは課税後で約8倍(年率で約15%の上昇)となり、直前1カ月リターンに基づく手法のリターンを上回った。その一方で、1カ月リターンに比べかなり緩やかな値動きとなった。

これは驚きの結果といえるが、その理由は表Bと表Cを見ればわかる。まず、値動きが大きい1カ月リターンは13年に高騰している(表B)。では具体的にこの時期にどんな投信が選ばれたのか。

集中的に選ばれたのは「JASDAQ-TOP20指数ファンド」だった。指数を構成するゲーム関連の一部銘柄が急騰し、指数全体の大幅上昇につながったのが背景だ。これにより、1カ月リターンの運用資産は13年の1年で一気に3倍となった。

ただ、1カ月リターンの場合、値動きのブレは大きく、運用成績は安定感を欠く。結果的に3カ月シャープレシオよりパフォーマンスが見劣りした。

一方、値動きが緩やかな3カ月シャープレシオで注目したいのは08年前後にかけての金融危機の時期に、国内債券型投信の「DLIBJ公社債オープン(短期コース)」が続けて選ばれた点だ(表C)。金融危機をはじめ市場変動の大きな局面では、低リスク投信のシャープレシオが相対的に大きくなりやすい傾向がある。

例えば、金融危機からの急回復局面に入ったものの、まだ円高が続いていた09年には、国内中小型株型やハイイールド債などの米国債券に為替ヘッジして投資するタイプが多く選ばれ、着実なリターンを上げた。つまり、3カ月シャープレシオは市場の急変にも対応する形での安定した値動きが良好なリターンにつながったといえる。

シャープレシオを指標とした投資手法では、投信が毎月のように変わる1カ月リターンと異なり、月が替わっても同じ投信が連続して選ばれやすいので、税負担面でも有利だ。

手間がかかり、現実的でない

ただし、どちらの手法も毎月投信の入れ替えを検討しなければならないため、実行の手間がかかる。現在、個別投信のシャープレシオについては、6カ月をはじめ、1年、3年など長期のシャープレシオが開示されているが、3カ月といった比較的短い期間のシャープレシオは見当たらない。たとえ入手できたとしても、ランキングとなると、一般の個人投資家は投信の選定作業が大変だろう。

しかも、数年や短期では投資効果を期待できそうにない。表Bを見ても、3カ月シャープレシオでの入れ替えは、15年間のうち半分くらいTOPIXに負けている。また、3月末までの5年間では約48%上昇したが、TOPIXの約84%上昇には及ばなかった。トレンドフォローは将来のパフォーマンスが良くなることを保証するものではなく、たまたま長期で好成績となった可能性も否定できない。

今回は毎月投信を入れ替えるという現実離れした行いを、あくまで参考として試算したわけだが、シャープレシオが投資指標として優れている面があることも判明した。市場の変調に備えながら、比較的に短期のトレンドにも対応したいなら3カ月シャープレシオに注目すべきだろう。