決算佳境、成長の質で「基準株価」はじく(苦瓜達郎)大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー

写真はイメージ=123RF
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「業績動向を知ることは株式投資の基本だ」

上場企業の2018年3月期決算の発表がピークに差しかかりました。業績動向を知ることは株式投資の基本です。前回コラム「割安株投資 我慢と信念で『ワナ』を克服」では私の投資手法を紹介しました。今回はやや専門的な内容になるかもしれませんが、その際に用いる尺度について、もう少し詳しく説明したいと思います。

前回も述べましたが、私は企業価値に比べ割安に放置されている割安株に投資する「バリュー投資家」です。基本的な考え方は次のようなものです。まず、計算できる期間(ほとんどの場合、半年~1年後)で対象企業の1株当たり利益を予想します。次に、事業の成長性やリスク要因などを考慮して妥当と感じるPER(株価収益率)を考えます。その上で、1株当たり利益とPERを掛け合わせて「基準株価」(適正と考えられる株価)を算出し、実際の株価が大幅に割安な銘柄から順番に投資を行っていくというものです。

「目標」でも「適正」でもない「基準株価」

「基準株価」とは変な言葉ですが、「目標株価」とも「適正株価」とも言いたくないのでこういう表現をしています。目標株価と言わない理由は、株価が値上がりした後に実際に売却を始める水準が相場全体の状況や資金の流出入によって左右されるためです。

適正株価と言わない理由は、そもそも「適正」な水準が求められるほど株価は厳密なものではないと考えているからです。

株式の価値を厳密に評価するための手法としては「ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)」というものがあります。DCFとは未来のある時点までのキャッシュフロー(実際の資金の増減)を予想し、資本コストで現在価値に割り引いて計算します。たしかに理論的には厳密です。

しかし、DCFを実際に適用するためには、長期のキャッシュフローをいちいち予想しなくてはなりません。まず当たらない予想を基に、主観もしくは慣習の産物にすぎない資本コストを用いて価値評価するのに、そこまで厳密性を求める必要があるでしょうか。私はDCFを理論的に否定しているわけではありませんが、「短期の1株当たり予想利益」×「妥当と思われるPER」という形で単純に考えた方が、より実戦的であると思います。

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