一般社団法人営業部女子課の会代表理事の太田彩子さん

環境作りこそ要 一般社団法人営業部女子課の会代表理事、太田彩子さんに聞く

女性の活躍の場は社外にも広がっている。顧客からの個人的な誘い、酒席での下ネタや身体接触などに悩む女性は多い。典型は営業だ。

全国の営業職の女性ら約3600人を束ねる一般社団法人営業部女子課の会(東京・港)の代表理事、太田彩子さん=写真=は「女性営業職は少なく、社外で起きた問題を持ち帰っても取り合ってもらえず二次被害を生じがち」と指摘。女性自身も「他社との競争のなかで付加価値を提供し『顧客から選ばれる人』になりたい」との思いで職務に臨む。その分、新人女性が「どこまでが仕事なのか」と1人で悩むケースも。

本人が不快に感じるならそれはセクハラにあたるとの認識を持つことが大事だ。さらに「酒席などが職務上本当に必要かどうかをチームで話し合うように」と提案する。ペアで営業するなど、組織対応の営業の広がりにも期待する。

取引先との酒席を女性に禁止するなどの制度だけでは、本当の女性活躍社会にはならない。迷惑な行為をしない・させない環境作りが大切。「皆が気持ちよく働ける環境づくりをしていくことがダイバーシティー(人材の多様性)につながる」

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企業、対顧客もルール作り

生産年齢人口の減少が続くなか、女性活躍の場を広げるのは企業の喫緊の課題。セクハラ相談窓口を設置するにとどまらず、取引先や顧客などからのセクハラ防止策に乗り出す動きもある。

夜の飲食店視察が定例業務の酒類メーカー。キリンビールはグループをあげて女性営業職を増やすなか、1人での視察は「午後10時で終了」という行動マニュアルを策定した。さらに女性1人ではリスクがあると判断した場合は、2人で視察することにしている。

グループ会社のメルシャン人事総務部の奥田尚美さんは「取引先から度を超えるような要求があれば会社の責任として対応する」と話す。

ある大手人材会社は2月、女性社員の取引先との付き合い方についてのルールを作った。午後7時以降の取引先訪問は原則禁止、やむを得ない場合は男性社員が同行、商談が8時以降に延びた場合はその時点と終了時に上司に報告、人数を問わず女性だけで取引先と会食しないなど細部にわたる。「女性社員の場合、自衛だけでは対処しきれないことがある」(同社総務部)からだ。

リクルートホールディングス傘下の派遣会社では、取引先に対し、帰社時や宴会後に無理やり送ろうとしたり、私的な予定を執拗に聞いたりすることなどはセクハラに当たるとの書面を送付。取引先も巻き込んで防止を狙う。

第一生命ホールディングスは内勤職や営業職向けに、セクハラ被害を防ぐためのマニュアルを示す。顧客宅への1人での訪問・面談は避けるなどだ。飲酒を伴う食事・宴席などに1人で行かないことも明記する。

[日本経済新聞朝刊2018年4月30日付]