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漬け方、飲み方、楽しみ方も色々 古くて新しい梅酒

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青梅がスーパーや青果店に並び始める季節となった。自宅や実家の庭でウメの実が採れるという方もいるだろう。これからの季節、「梅酒」を漬けるのが年中行事というご家庭も多いのでは?

さて、ここ数年、お酒の世界で話題になっている「インフュージョン」なるものをご存じだろうか。これはアルコールに果実やハーブなどを漬け込んでフレーバーをつけたもので、「浸漬酒(しんせきしゅ)」とも呼ばれる。

漬け込む材料としては、イチゴやリンゴ、オレンジなどの果物、あるいはバニラビーンズやシナモンなどのハーブ、コーヒービーンズや紅茶など。キュウリやトマトなどの野菜が使われることもある。アルコールはウオッカ、ブランデー、ウィスキーなどいろいろ。これを使って作る「インフュージョン・カクテル」も最近の流行だ。

インフュージョンはアルコールに漬ける期間が1日~2週間程度と短いものが多いが、考えてみれば梅酒は漬け込み時間の長いインフュージョンといえる。

梅酒の起源は定かではないが、江戸時代中期、1697年発刊の『本朝食鑑』という文献に梅酒のつくり方が登場していたというから300年以上前から飲まれていたことは間違いない。つまり、梅酒は日本古来のリキュールにしてお酒の最新トレンドでもあるわけだ。

梅酒は一般的にはホワイトリカーでウメを漬け込むが、最近ではフランデーや泡盛などで漬ける「変わりダネ」梅酒を楽しんでいる人も多い。

まずは梅酒の基本的なつくり方をご紹介したいと思うが、その前に押さえておきたいことがある。酒税法という法律だ。「自家製梅酒を作ったよ!」とSNS(交流サイト)やブログなどにうっかり書き込んだら、実はそのレシピは法律違反で大炎上!なんてことにもなりかねない。

●梅酒やインフュージョンをつくるうえでの注意点

(1)消費者がみずから飲むためにつくるもので、販売してはならない。

(2)度数が20度以上のアルコールを使用すること。

(3)ブドウ、ヤマブドウを原料にしてはならない(コメ、ムギ、アワ、トウモロコシ、コウリャン、キビ、ヒエ、もしくはでんぷん、またはこれらのこうじも同様)。

日本酒やみりんに漬けた梅酒が市販されているが、日本酒やみりんはアルコール度数が14~15%であるため、家庭でこれらを使って梅酒を作ってはいけない(酒類製造免許を持ったメーカーがつくるのはOK)。

では、基本的な梅酒のつくり方について紹介しよう。

【材料】

・青梅 1キロ

・氷砂糖 500グラム

・ホワイトリカー 1.8リットル(アルコール度数35度以上のものが望ましい)

【作り方】

(1)瓶を煮沸消毒し、清潔な布巾で拭いて完全に乾燥させる。

(2)ウメをきれいに洗い、2リットルの水に1~2時間ほどつけてアク抜きする。

(3)ウメを水からザルなどにあげ、清潔な布巾でウメの水分をよく拭きとる。

(4)竹串やつまようじなどでウメのヘタを取る。

(5)瓶にウメと氷砂糖を交互に入れる。

(6)ホワイトリカーを注ぎ入れ、ふたをして、冷暗所に保存。3カ月後くらいから飲めるようになる。

梅酒やインフュージョンができるメカニズムは中学の生物の授業で習った「浸透圧」に関係している。半透膜で仕切られた液体は、半透膜の向こう側と同じ濃度になろうとするため、水が一方からもう片方へと移動する。この現象を浸透圧という。

ウメなどの果物にアルコールを加えると、アルコール分子や水分が果物の中に入り、果物のエキスを吸ったアルコールや水分が今度は外に出る。これを繰り返し、やがて同じ濃度になろうとする。こうしてウメの成分がアルコールに溶け出たものが梅酒というわけだ。

砂糖を入れずに梅酒が作れないこともないが、砂糖は加えることによって浸透圧の働きがより高まる。糖分が加わることでウメの甘みをアルコールのほうに引き出すことができる。氷砂糖はゆっくり糖分が溶け出すので、じわじわとウメの甘みやエキスを引き出すことができるという利点がある。

このように梅酒は「ウメ」×「アルコール」×「砂糖」という実にシンプルな材料でできており、アルコールと砂糖の部分をアレンジすることでかなりのバリエーションが作れる。

たとえば、

●アルコール→ホワイトリカー以外に、ブランデー、ウィスキー、ウオッカ、ジン、テキーラ、焼酎、老酒、泡盛など(前述の通り、アルコール度数20度以上のものを!)。

●砂糖→黒糖、はちみつ、三温糖、きび砂糖、メープルシロップなど。

3つの材料のほかに、さらにインフュージョンのテクニックをかけ合わせると実に個性的なオリジナル梅酒ができる。

基本の梅酒のつくり方に緑茶のティーバッグをプラスして「緑茶梅酒」。一度梅酒バーで飲んだことがあるが、緑茶の香りがふんわりと口の中に広がってとてもおいしかった。ほかにもダージリンなどのティーバッグをプラスして「紅茶梅酒」などを作っている人もいるようである。

どちらも青梅1キロに対し、茶葉の量は40グラムほど。長く漬けると渋みが出てしまうためティーバッグは1週間ほどで引き上げるのがポイントだ。

梅酒の飲みごろだが、一般的には漬けてから1年後といわれる。寝かせれば寝かせるほど味はまろやかになるが、1年でウメのエキスはアルコールのほうに完全に出切っているのと、ウメが崩れて濁りが生じてしまうため、1年以上熟成させる場合はウメを引き上げてから保存するとよい。

では、自家製梅酒ではなく市販の梅酒の飲みごろはどうだろうか。実は梅酒もワインみたいに寝かせておいたほうがおいしかったりするのか。

梅酒最大手・チョーヤ梅酒企画広報推進部の細谷悠夏さんによれば、「弊社の製品は『光』『熱』『空気』など外部からの影響を受けないよう設計された特注の梅酒貯蔵タンクによって刺激の少ない環境で1年以上熟成しており、その後ブレンドの工程を経て製品化をしています。製品になった時点が飲みごろとなるようにつくられています」とのこと。

梅酒は冷やしてそのまま、ロック、水割り、ソーダ割り、お湯割りなどで飲むことが多いが、変わった飲み方としては「シャンパン割り、ジン割り、紅茶割り、牛乳割りや豆乳割りもおいしいですよ」と細谷さん。

牛乳を入れるとはかなりビックリな組み合わせだが、実際にやってみたらトロンとした舌触りになってヨーグルトのような味わい。お酒の苦手な人もこれならおいしく飲めそう。

食前酒というイメージが強いが、最近は「食中酒」として楽しむ人も多い。「食事と合わせる場合は、甘さが控えめで酸味がある梅酒を選んでいただくといいでしょう。お肉料理や辛い料理など味が濃い食事と相性がよく、またチーズにも合います」(細谷さん)

あと、梅酒というとちょっと困ってしまうのが漬けた後に残る大量のウメだ。自家製梅酒だけでなく、市販の梅酒でもウメの実が入ったタイプがある。あれを食べるのが大好きという人もいるが、全部食べるのもなかなか大変だ。

「残ったウメの活用法としてはカレーや煮物に入れるのがおススメです。たとえば『鶏肉の梅酒煮』は一口大に切った鶏もも肉をしょう油と梅酒と水で煮て、仕上げに梅酒の実を入れます。『ウメカレー』は種をとった梅酒の実1~2粒をカレーと一緒に煮込みます。コクがでてマイルドな味に仕上がりますよ。梅の実を細かく刻んでカレーの上にトッピングしてもおいしいですよ」(細谷さん)。

なるほど、カレーにはラッキョウのように甘酸っぱい味が合うので、ウメトッピングはたしかにいいアイデアだ。

ほかにも梅酒の実をパウンドケーキや梅酒ゼリーに入れるのもおいしいという。

さて、チョーヤ梅酒では今年の4月、京都・烏丸御池駅近くに世界初の梅体験専門施設「蝶矢」をオープンしたばかり。梅は兵糧(戦争時における軍隊の食糧)、家庭薬などとして、時代とともに形を変えながら家庭で手作りしてきた。「蝶矢」ではこうした日本の「梅文化」を現代的なスタイルで提供し、世界へ発信していくという。

細谷さんによれば「今や、多くの若者は梅酒やウメシロップを手作りしたことがありません。ウメの作付面積は10年前から20%も減少しており、まさに、ウメ文化継承の危機にあります。『蝶矢』では、今までより気軽に日本の若者や海外の方にウメに親しんでもらうことにより、ウメの新たな需要を創造し、ウメ文化の継承を成し遂げたいと思っています」とのこと。

「蝶矢」は現段階、ウメシロップづくりの体験のみだが、準備が整い次第、梅酒作り体験もできるようになるという。ウメの専門家である「コンシェルジュ」のサポートのもと、100通りにも及ぶ組み合わせから自分だけのこだわりのウメシロップや梅酒をウメ1粒単位から作れるのが特徴とか。

手作り文化があり、自分好みにアレンジできるのが梅酒の1つの大きな魅力だ。

和食がユネスコ「世界無形文化遺産」になり注目を浴びていることから海外での梅酒の人気も高まっているという。海外への輸出も年々伸びているとか。海外で人気になることでまた新しい飲み方が逆輸入されるかもしれない。どんな新しい梅酒の「進化系」ができるのか楽しみである。

(ライター 柏木珠希)

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