『アベンジャーズ』衝撃の結末 マーベル製作者が語る
4月27日から日本公開が始まった『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。アメリカン・コミックの2大出版社の1つであるマーベルが生んだ人気ヒーローが集結する映画シリーズの第3弾だ。本作と2019年公開予定の『アベンジャーズ4(仮題)』で、マーベル製作の映画は大きな節目を迎えるという。これまでの歴史を振り返り、今後の展望を探ろう。
『スター・ウォーズ』などを超えて、世界一のヒット映画シリーズとなった「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)。シリーズ19作の全世界での累計興行収入は154億ドル、日本円にして1兆6000億円を突破する。同シリーズでも高い興収を誇るのが『アベンジャーズ』で、第3弾『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が公開中だ。全てのMCU作品をプロデュースしてきたマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ氏は、「本作と19年公開予定の『アベンジャーズ4』は、MCUの歴史を大きく変える作品になる」と語る。
マーベルが自社で映画製作に取り組み始めたのは、08年の『アイアンマン』から。今年で10周年を迎える。MCUの特徴は、作品が1つの世界観でつながる「ユニバース」の概念を取り入れていること。アイアンマンやハルクなど複数のヒーローが同じ世界に存在し、交流するなど関わり合いを持つ。人気ヒーローが一堂に会する『アベンジャーズ』はその象徴的作品だ。さらにMCUでは、「フェイズ」という数作品ごとの段階を経て世界観を広げ、各フェイズの集大成として『アベンジャーズ』を発表してきた。
フェイズ1は「導入期」。第1世代とも表現できるアイアンマン、ハルク、ソー、キャプテン・アメリカの映画を製作し、シリーズ化に成功。また、『アベンジャーズ』(12年)でユニバースの概念を世に知らしめた。
フェイズ2は「飛躍期」だ。ハルクを除くヒーロー3人はそれぞれの続編で新たな展開を見せ、第1世代の4人が中心の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15年)を製作した。一方で、次代を担う第2世代ヒーローの披露も開始。ピーター・クイルら5人組が出演する『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)と『アントマン』(15年)が加わった。
では、「フェイズ3」はMCUにとってどのような意味を持つのか。
フェイズ3の役割は、ずばり「世代交代期」だ。実は第1弾『アベンジャーズ』に出演した俳優陣の多くは、まもなく出演契約が満了するといわれている。契約延長や1作ごとの契約を結ぶ可能性もなくはないが、基本的にロバート・ダウニーJr.が演じるアイアンマン、クリス・エヴァンスが演じるキャプテン・アメリカを見られるのは、『~インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ4』が最後になりそうだ。
マーベル・スタジオは、フェイズ3に第2世代ヒーローを着々と育ててきた。先の『ガーディアンズ~』に加え、キャプテン・アメリカ作品ながら多くのヒーローが集結した『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)で、スパイダーマンとブラックパンサーを初めて登場させて顔を売った後、17年と18年にそれぞれの単独作品を発表。同じく、中心的存在になると推測される『ドクター・ストレンジ』も製作している。『~インフィニティ・ウォー』は、第1世代と第2世代のヒーローが、初めて集う作品になる。
人気ヒーローを卒業させる理由
なぜ人気ヒーローを卒業させるのか。その狙いについて、ファイギ氏は次のように語る。「スーパーヒーロー映画では、明確なエンディングを迎える作品は少ないですが、すべての作品には始まりと終わりがある。(『アベンジャーズ4』で迎える)22本の映画で終結する、誰もやったことのないエンディングに取り組もうと考えたんです」
「これまでにないエンディング」という言葉からは、様々な展開が推測できる。例えば、魔術で時間を操ったり、異次元へ移動できるドクター・ストレンジが、何らかの理由で「初期ヒーロー4人が存在しない世界」を生み出し、そのパラレルワールドで第2世代以降のヒーローたちが活躍する展開も考えられる。いずれにせよ、10年の歴史を大きく変える作品になることは間違いない。
なおファイギ氏は、『アベンジャーズ4』以降について「これからも続けていきます」と断言。19年春に登場する女性ヒーロー『キャプテン・マーベル』も、中心的存在になりそうだ。
大きな変革の入口となる『~インフィニティ・ウォー』。ファンにとって重要作であるのはもちろんだが、初心者にとって『~インフィニティ・ウォー』は、今後のMCUを楽しむ入り口となる作品ともいえるだろう。
(ライター 相良智弘)
[日経エンタテインメント! 2018年5月号の記事を再構成]
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