シェアハウス投資、「高収益」のからくりには注意不動産コンサルタント 田中歩

「かぼちゃの馬車」はリビングをなくしたり、極小化したりすることで共用部の面積を極力少なくして、代わりに賃料収入が得られる個室(7平方メートル程度)を少しでも多くすることで収益性を高めるようにしていたようです。

「詰め込み型」の賃貸住宅に

しかし、これだと本来のシェアハウスではなく、バスやトイレだけをシェアする「詰め込み型」の賃貸住宅になってしまい、結果として入居率が下がる原因になったのではないかと考えています。

サブリースとは、オーナーから不動産会社などが建物を借り上げて家賃を支払う仕組みです。不動産会社は借り上げた建物をまた貸し(転貸)することで利益を上げます。サブリースは入居者が集まらないリスクや退去リスクを不動産会社に負ってもらえるという点で安心感があるのですが、今回のように会社が破綻に追い込まれるケースもあります。

破綻に追い込まれなくても、通常の賃貸物件と同様、サブリースの賃料もずっと一定とは限りません。市場の変化に応じて値下げされることもあります。サブリースでも確実に保証されることはないと思っておくべきでしょう。

市場価格の把握が重要

賃料収入におけるリスクを回避するために一番大事なことは、賃料の市場価格の把握と、サブリースによる保証家賃が市場価格に見合ったものかどうかを確認することです。シェアハウスへの投資を検討するならば、周辺のワンルームマンションの賃料単価に対し、保守的に考えて賃料単価は1.5倍程度に抑えて総収入を算定する必要があります。

「かぼちゃの馬車」に関する報道を見ていると、また貸しする賃料よりもオーナーに支払う賃料のほうが高かったものもあるようで、もしそれが事実ならば、そもそもサブリース事業として成り立っていません。

ほかのもうけでカバーする仕組み、例えば仕入れた土地や建物を融資なども含めて必要以上に高く売って損失をカバーする仕組みがあったとの報道もあるようですが、それはとんでもないやり口だと思います。

入居者同士の目線を意識しているか

シェアハウスの価値は、入居者同士のコミュニケーションの形成だと筆者は思います。シェアハウスへの投資を検討するならば、個室面積や共用部を極小化して個室数を増やし、収益性を高める投資家側の一方的な考えではなく、リビングや洗面台、個室までの動線など入居者同士の目線を意識した設計や空間づくりがなされているか、適度なコミュニティーの形成ができるようなマネジメントがなされているかという点に、より目を配るべきだと筆者は考えます。

新しい暮らし方のひとつであるシェアハウスに投資して運用するのであれば、こうした観点に注目すれば、ほかの不動産投資より一歩抜きんでた収益を得られるチャンスが広がるはずだと筆者は考えています。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
注目記事
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし