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REIT投資の勘所

REIT、収益向上で増配相次ぐ 利回り面でも投資妙味

日経マネー

2018/5/4

日経マネー

J-REIT価格は年初から乱高下を続けていたが、2018年3月に落ち着きを示す形になった。前回記事「黒田日銀総裁の再任 REIT市場に吹く追い風」で記載した通り、東証REIT指数が1670ポイントを割り込むと、すぐにその水準を回復する動きが続いている。

J-REIT価格上昇を牽引している海外投資家の買い越し基調に変化がなければ、海外情勢によって急落する局面があっても1670ポイント以下の水準は割安感がある状態と言えるだろう。また1700ポイント以下の水準であれば、分配金利回りは市場全体で4%を超える水準になり、利回り面でも投資妙味がある状態だ。

■2018年も増配傾向が続く

さらにJ-REITの収益状況は極めて好調だ。ファンダメンタルズ(基礎的条件)を最も的確に示す1口当たり分配金(以下「分配金」)は、17年下半期には96%の銘柄が前年同期比で増配となった(同年上半期は87%弱)。17年下半期は、上場後4期以上の決算を経過した50銘柄で48銘柄が増配であり、その他2銘柄の減配率も2%以下の水準だ。

また17年に分配金が過去最高となった銘柄の比率は、下半期で40%。上半期(42%強)からやや減少したがそれでも依然高水準だ。J-REITにとっての下半期は、オフィスビルではテナントに貸し出していない共用部の電気代がかさむ夏季を含むため、光熱水収支が悪化しやすい。賃貸住宅では新規の入居が少なく礼金収入が減少する時期だ。このようにJ-REITでも季節要因が生じるため、増配率の比較では前年同期比としている。

注:投資口価格は2018年4月5日時点

増配傾向は18年も続くと筆者は考えている。J-REITの収益を支える賃貸市況は、郊外型の商業施設を除き好調が続いているからだ。例えば、J-REITの保有資産割合が2月末で42%と最も大きいオフィスビル市況は、東京都心5区の募集賃料の坪単価が2月末時点で1万9500円まで回復した。

この単価は10年9月と同水準であり、それ以降に入居したテナントであれば契約更新時に賃料の引き上げを貸主として要請できる状況であることを示している。また空室率が3%程度と低いため、入居テナントが退去しても後継テナントの募集賃料を強気に設定できることになる。

また前回記事でも記載した通り、借入金の借り換えによる支払利息減少の効果も続きそうだ。J-REITは、17年に平均0.57%の固定金利での調達を行っている。18年4月から12月までに返済期限が到来する調達分の金利は0.94%となっているため、17年と同様に調達期間が8年弱と長い水準になったとしても支払利息の減少効果は期待できるのだ。

価格面では下落の主要因となっている投資信託の売り越しが続く限りは大幅な上昇は期待できない。ただ、相場が急落するような時期があれば、利回りや分配金の成長という面から積極的な投資の検討もできそうだ。

関大介
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年6月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 6 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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