マネー研究所

カリスマの直言

大谷選手と投資の達人 共通点は夢への情熱(渋沢健) コモンズ投信会長

2018/5/7

24時間、常に揺るぎない意志でマーケットに臨み、負けるときは謙虚に受け入れた。仕事には全力で取り組むけれどもある意味で、淡々とした姿勢が印象的だった。こうした潔さが投資にも好影響を及ぼしていたのかもしれない。

一方で彼は2001年9月に米同時テロが起きると、基金を設立し、犠牲になった消防士の遺族の支援を始めた。既に巨万の富を手に入れているからだという見方はあるだろうが、たとえお金があっても全ての人ができることではないだろう。

対談した日本ハムファイターズの栗山監督とは初対面だったが、とても気さくで知的好奇心も豊富との印象を受けた

こうした社会貢献の考え方は弊社コモンズ投信にも生きている。応援したい社会起業家を毎年選び、コモンズ投信が得る信託報酬の1%を寄付している。寄付は将来世代のために資金を社会に循環させる仕組みである。

「論語と算盤」の名前通り、渋沢栄一が重視したのも倫理と利益の両立だった。明治時代、日本初の銀行を設立した渋沢栄一はあるメッセージを唱えた。「滴から大河に」である。

■未来志向の成長資金を世に循環させる

要約すると次のような内容になる。個々が保有するお金は、ぽたぽた垂れている滴のように微力な存在だ。ただ、銀行に集まってくれば、それは大河のような勢力へと変化する。そして、その大河は未来に流れている。金融機関の社会的役割とは未来志向の成長資金を世の中へ循環させることなのだ――。

大河をつくるのは未来志向というワクワクする気持ちだ。日本から米大リーグという大きな舞台に飛び出た未来志向の大谷選手も見ていてワクワクする。何より、二刀流を否定せず、夢をかなえてあげたいという栗山監督の未来を信じる力があったからこそ、大谷選手は活躍できたといえよう。

投資の世界も未来を信じる力がなければ、長期投資の果実を得ることはできない。今年から始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)はその重要なツールとなるはずだ。同制度は積み立て投資する場合に年間40万円を上限として最長20年間、運用益や分配金にかかる約20%の税金が非課税になるという画期的な内容だ。

つみたてNISAはこうした税制優遇はもちろん魅力的だが、投資対象として金融庁が定めた条件をクリアした低コストの投資信託があらかじめラインアップされており、初心者にも優しい制度設計となっている。この機会に未来を信じて投資の世界に一歩足を踏み入れてほしい。

渋沢健
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院卒。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に『渋沢栄一 100の金言』(日経ビジネス人文庫、2016年)など。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL