帝王カラヤン、そのダンディさを生誕110年に思う
マエストロのファッションを解剖
誕生日は1908年4月5日。本日は、オーストリア=ハンガリー帝国 ザルツブルク出身のダンディなる楽壇の帝王カラヤン、生誕110年の節目となります。さあ皆さん、一緒に彼を振り返ってみましょう。
フルネームはHerbert von Karajan(ヘルベルト・フォン・カラヤン)。彼が1989年7月16日に81歳で亡くなってから、早くも30年が経過しようともしているころ、その彼のカリスマ性はいまだ衰えるところを知りません。
2018年4月5日に、彼の生誕110年を迎えました。
クラシックという文化を、「いかに後世に伝えていくか?」も常に考えていたカラヤン。クラシックを映像作品として残すべきと早くから注目し、コンサートのライブだけでに限らず映像制作を自ら積極的に手がけてきました。
生誕110年を記念して、今後、さまざな音源やDVDが発売されることでしょう。ベートーヴェンの交響曲もいいです、ブラームスの交響曲だって最高。チャイコフスキーの後期における交響曲集なんて聞いたら涙が出るかもしれません。
あ、そうそう、1974年の11月と12月にベルリンで行われたプッチーニの歌劇"蝶々夫人"のDVDは、名作中の名作だと思います(担当スタッフ個人的意見強し……)。主役の蝶々夫人を演じたのは、若々しい声質と優れた演技力で評価が高いミレッラ・フレーニ。そのほかテノールのプラシド・ドミンゴなどなど、実力派キャストは揃っています。
……と、音源等は山ほどあります。ですが、写真集となるとあまり見当たりません。2012年にヤマハミュージックメディアから発売された『ヘルベルト・フォン・カラヤン写真集』は知っているのですが……。
細身の体を黒で統一された服装で包み、白いマフラーを長く垂らせたスタイルでスポーツカーや自家用ジェット機を自在に操るカラヤン。そんなダンディな紳士の代表とも言える姿をぜひとも、もっともっと観たい!と思い、ここにプチ写真集を作成しました。
既成の音楽家のイメージを一新させた帝王の姿を、ここで一緒に振り返りましょう。
◇ ◇ ◇
カラヤン追想曲 第1番
1955年のカラヤン。コートを肩掛けしながら、インナーにはカシミアと思われるVネックセーターを着こなしています。タートルネックのイメージが強いですが、ニットウエア全般が好きなだったようですね。
カラヤン追想曲 第2番
1956年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督に就任した翌年のカラヤンになります。
カラヤン追想曲 第3番
1959年、ザルツブルグの舞台裏にて。同じ指揮者であり、1956年までウィーン国立歌劇場総監督であったKarl Boehm(カール・ベーム)氏と談笑するカラヤン。カラヤンは1956年より、ベーム氏からウィーン国立歌劇場総監督の座を引き継ぎ、1964年まで務め上げました。
カラヤン追想曲 第4番
1961年4月12日、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで行われた記者会見でのカラヤン。
カラヤン追想曲 第5番
1962年4月6日、リハーサルに臨むカラヤン。もちろん服装はタートルネックスタイルです。
カラヤン追想曲 第6番
1963年、アイビー調のスタイルで談話するカラヤン。ストライプタイにグレイパンツ、足元はチャッカブーツでした。
カラヤン追想曲 第7番
1964年6月29日、カラヤンはザルツブルグの飛行場から、自らの操縦で飛び立つ準備をしています。愛機の「ダッソー ファルコン 10」でしょうか!?
カラヤン追想曲 第8番
1966年、オールトリア・ウィーン楽友協会のホール「Großer Musikvereinssaal(グローサー・ムジークフェラインスザール)」にて、リハーサルに臨むカラヤン。この日は、ダークカラーのニットポロという出で立ちです。
カラヤン追想曲 第9番
1968年のカラヤン。フランス人のモデルであった3人目の妻エリエットさんと、彼女との間に生まれた娘イザベラちゃん(1960年生)、そしてアラベルちゃん(1964年生)と一緒に。
カラヤン追想曲 第10番
1967年より、カラヤン自らの理想に沿うワーグナーのオペラ上演をめざして開催するようになった、ザルツブルク復活祭音楽祭。写真は1970年に、その音楽祭のリハーサル中のカットになります。
カラヤン追想曲 第11番
1973年のカラヤン。ドイツ・レバークーゼンにある録音スタジオにて、ドイツの作曲家Carl Orff(カール・オルフ)氏作のオペラ『時の終わりの劇(De temporum fine comoedia - Das Spiel vom Ende der Zeiten)』を、オルフ氏と打ち合わせしながら録音をすすめているところ。
カラヤン追想曲 第12番
カラヤンといえば、このように上質で正統派のウエアをベーシックに着こなす達人でした。テーラードタイプであるダブルのチェスターコートの首もとには小紋のアスコットタイを巻く出で立ち。「知性ある紳士とは?」、その模範解答となるのがこのお方ではないでしょうか。
編集者:小川和繁
[ウェブサイト『ESQUIRE』2018年4月5日公開の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。