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岩崎玲子・トッパンマインドウェルネス代表取締役

岩崎玲子・トッパンマインドウェルネス代表取締役

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。今回も新しい筆者が登場します。10人目の筆者は、トッパンマインドウェルネス代表取締役の岩崎玲子氏です。

◇  ◇  ◇

私は大学を卒業後、凸版印刷に入社してマーケティング部門で勤務していました。人事部主催の異業種交流会に参加したのをきっかけに、社内ベンチャーとしてトッパンマインドウェルネス(TMW)を起業しました。

TMWはリーダーに必要なコミュニケーションスキルを提供する企業研修の会社です。最近はダイバーシティーに関する研修の依頼が増えています。私たちはダイバーシティーは社員一人ひとりの持ち味の違いをいかすことだと考えています。

当社は自らの「ものの見方」の偏りに気づくことの重要性をお伝えしてきました。ダイバーシティーにおいても、ものの見方の偏りである「無意識の偏見」に自覚的になることが重要です。

人は無意識のうちに「若手は主体性がない」「ベテランは頑固だ」などととらえがちです。そう思って相手を見ると、相手はその決めつけた見方を感じとり、心を開いてくれません。相手のことを知る機会も奪われ、相手の強みである多様性が見えなくなります。

私も若手社員の意見を聞いたとき、問題点ばかりが目についたことがありました。そうすると「みんなの意見を聞きたい」といって始めた会議にもかかわらず、出てきた意見を無視し、時には否定的なコメントもしていたと思います。今は部下の考えを尊重するように心がけています。

また、部下のレベルを引き上げる必要もあります。そのため(1)その人が持つ強みをいかせる仕事をつくる(2)弱みについては何が問題かを説明して具体的に教える――この2点に挑戦しています。

部下の多様なスキルや価値観、アイデアをいかすには、相手がそれを出せるような関係性を築く必要があります。

研修で女性やベテランの部下を題材にロールプレイを行うと、参加者は自分たちがいかに聴くことができていないかを実感するようです。そのこと自体は有効な経験ですが、問題はその後にあります。引き続き自分が指示を出すのか、チームの多様性をいかすのか、それが私たち一人ひとりの選択になるのです。

ミドルやシニアの男性は、職場において多数派である場合が多いと思われます。仕事の進め方や人とのかかわり方が、少数派の人たちに疎外感を感じさせていないか考えてみることが重要になります。

女性だけでなく、子会社の社員や雇用形態が異なる人々、少数意見の持ち主など、少数派の人たちが力を発揮しにくいと感じる状況は起こりえます。彼らの疎外感は、多数派の人からは見えにくいのです。それが「主体性がない」という偏見をうみます。

多数派の人たちは、自分と異なる意見を聴くことに面倒臭さや怖さを感じるかもしれません。ですから疎外感を感じている側も「相手はかたくなだから」などと偏見を持つのではなく、相手が受け入れやすいように、適切な論理と表現で話すことが求められます。関係者全員がそれまでの考え方や人とのかかわり方がベストなのかを見直す必要があります。

多様性が発揮される状況をつくるには、全員が無意識の偏見を自覚しようと努力することが欠かせません。

いわさき・れいこ
 津田塾大卒、凸版印刷入社。2002年に研修・組織開発のコンサルティングのトッパンマインドウェルネスを設立。14年より代表取締役。

[日経産業新聞2018年4月19日付]

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