日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/5/2

サメは不器用で、単独では寝ぼけたハタさえ捕まえることが難しい。だが群れで狩りをすれば、ハタを隠れ場所から追い出し、包囲できる。サメたちの攻撃は、速すぎて肉眼では追えなかった。しかし、特殊なカメラで撮影した毎秒1000コマのスローモーション映像を見て、狩りは感嘆するほど効率的で正確なものかが分かったのだ。

傷を負った雄のハタは?

サメにとって、人間は障害物ではあっても獲物ではない。夜に潜水していると、サメは私たちのわずかな動きや水中ライトの光に反応して近づいてくる。あざができるほど強烈な頭突きを食らわされることもあったし、興奮したサメを静めるために、尾をつかんで裏返すこともあった。

マダラハタがファカラバ環礁に集まる数週間で、オグロメジロザメは数百匹か、あるいは数千匹のハタを貪る。傷を負った魚も多くいる。徹夜でダイビングをした翌朝、私は“サバイバー”たちを撮影した。いずれも重傷だ。

ひれは引き裂かれ、えらぶたは剥がされている。しかしそんな悲惨な状態になっても、ハタたちはひるんでなどいないように見えた。雄たちは優位に立とうと、幾度となく顔を突き合わせて挑み合い、激しく争う。彼らは生殖本能に支配されていた。2017年、ハタの雄たちのそうした行動の結末をようやく観察することができた。

(写真・文 ロラン・バレスタ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年5月号の記事を再構成]

[参考]ナショナル ジオグラフィック5月号では、ここに抜粋した特集「狂乱の海に潜る」のほか、ピカソはなぜ天才か/米国で生きるムスリムたち/恐竜から鳥へ、などを掲載しています。

ナショナル ジオグラフィック日本版 2018年5月号 [雑誌]

著者 : ナショナル ジオグラフィック
出版 : 日経ナショナルジオグラフィック社
価格 : 1,110円 (税込み)


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