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松本晃カルビー会長兼CEO

松本晃カルビー会長兼CEO

カルビーは23日、伊藤秀二社長兼最高執行責任者(COO)が6月20日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に就き、松本晃会長兼CEOがシニアチェアマンに就く人事を発表した。松本氏は伊藤忠商事を経て45歳でジョンソン・エンド・ジョンソンに転身。低迷していたカルビーの業績も急回復させ、日本に「プロ経営者」という言葉を浸透させた先駆けともいえる存在だ。3月の突然の退任発表は市場関係者を驚かせたが、本人は「ずっと考えていた」という。「自分の人生は売り子」と話す松本氏は今後、どんなキャリアを描こうとしているのか。

46年、とにかく売ってきた

ほかの人にない能力は何だと思うか。その問いに「ものを売ること。これに関しては(僕は)天才だね。自分の人生はずっと売り子」と、スパッと返ってきた。京都大学大学院修了後に入社した伊藤忠商事では大阪に配属、フォークリフトなどの建設機器を扱い、東京に転勤になった。その後、医療機器の子会社に出向し取締役を務めたり、ジョンソン・エンド・ジョンソンに転じたりするなど、立場や売るものは変わっていったが、「46年、とにかく売ってきた。楽しかったね。立場が変わっても、(売り子は)今も面白い」と顔をほころばせる。

「売り子」としての松本氏のテクニックは、「人は買いたいものを買うんじゃない、買いたい人から買う」という分析に基づくコミュニケーション力だ。「つまり『僕から』買うこと、これが売り」とちゃめっ気を見せるが、そこには結果に対する厳しい視線がある。商談の場面で、細かい商品の説明や背景を説明しつつも、顧客を前にして肝心の「買ってほしい」「これはいいものだ」という最も大切なメッセージが言えなかったり、ひるんだりする経験は、営業担当者なら一度はあるだろう。

「一番大事なのは、クロージングです。僕は細かいことは言わない。まず今買ってほしい、あなたにだけです。こう言ったら、ぐっとくるでしょう」

逆にどれほど論理的でスマートでも、クロージングができない人間は評価しない。シンプルなフレーズが好きで、難しいことは考えられない――。そう自分を解説するが、セールスの極意といっていいだろう。その根っこには、駆け引きや商品の魅力を伝える「モノの売買」そのものが楽しい、という「根っからの商人」の姿が透けてみえる。

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