Q 人は食物繊維を栄養として使うことができないのに、なぜとらないといけないの?
A 腸を掃除したり、いい腸内細菌を増やす
食物繊維には、便のカサや水分量を増やして便通を良くする、腸を刺激してぜん動運動を促す、脂肪や糖の吸収を抑え、血糖値や血中中性脂肪値の上昇を防ぐ働きなどがある。さらに「今注目されているのは、腸に広く分布する多種多様な腸内細菌のエサとなり、腸内細菌バランスを整える働き」と青江教授。食物繊維を多くとることで、有用な腸内細菌の種類や数が増えること、腸そのものが健康になることがわかってきたという。
A 腸を掃除したり、いい腸内細菌を増やす
食物繊維には、便のカサや水分量を増やして便通を良くする、腸を刺激してぜん動運動を促す、脂肪や糖の吸収を抑え、血糖値や血中中性脂肪値の上昇を防ぐ働きなどがある。さらに「今注目されているのは、腸に広く分布する多種多様な腸内細菌のエサとなり、腸内細菌バランスを整える働き」と青江教授。食物繊維を多くとることで、有用な腸内細菌の種類や数が増えること、腸そのものが健康になることがわかってきたという。

Q 食物繊維を腸内細菌が食べると私たちにどんないいことが起こるの?
A 肥満やアレルギーを抑える物質をつくる
腸内細菌のエサになる食物繊維をたくさんとることで、腸の中で酢酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」が増える。この点が近年注目されている。酢酸には殺菌作用があり、腸管出血性大腸菌O-157などの悪玉菌の増殖を抑える働きが確認されているほか、体脂肪の合成と蓄積を抑える働きなども注目を集めている。一方、腸で酪酸が増えると、アレルギーの原因となる“免疫の暴走”を抑える「Tレグ細胞」が増えることもわかってきた。
A 肥満やアレルギーを抑える物質をつくる
腸内細菌のエサになる食物繊維をたくさんとることで、腸の中で酢酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」が増える。この点が近年注目されている。酢酸には殺菌作用があり、腸管出血性大腸菌O-157などの悪玉菌の増殖を抑える働きが確認されているほか、体脂肪の合成と蓄積を抑える働きなども注目を集めている。一方、腸で酪酸が増えると、アレルギーの原因となる“免疫の暴走”を抑える「Tレグ細胞」が増えることもわかってきた。

Q 食物繊維はよさそうなものだけとればいいの?
A 1種類だけでなく、複数をバランスよくとるほうがいい
「ひと口に食物繊維といっても、種類によって大腸内で発酵する時間も場所も異なるので、いろいろな種類をとるほうがいい」と青江教授。発酵とは腸内細菌のエサになること。腸内細菌は種類によって好む食物繊維が異なり、いつどこで発酵するかは腸内細菌の分布によって異なるという。また、「不溶性食物繊維と一緒にとることで、水溶性食物繊維やレジスタントスターチが大腸の奥まで効率よく届けられ、腸内環境が良くなることも確認されている」(青江教授)。
A 1種類だけでなく、複数をバランスよくとるほうがいい
「ひと口に食物繊維といっても、種類によって大腸内で発酵する時間も場所も異なるので、いろいろな種類をとるほうがいい」と青江教授。発酵とは腸内細菌のエサになること。腸内細菌は種類によって好む食物繊維が異なり、いつどこで発酵するかは腸内細菌の分布によって異なるという。また、「不溶性食物繊維と一緒にとることで、水溶性食物繊維やレジスタントスターチが大腸の奥まで効率よく届けられ、腸内環境が良くなることも確認されている」(青江教授)。

Q トクホや機能性表示食品に使われている食物繊維はどんなもの?
A 自然の食物繊維そのものや食物繊維を加工して使いやすくしたもの
トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品には、食物繊維が入れられているものが少なくない。「多くは天然由来のでんぷんに、熱を加えたり酵素処理をしてつくられた食物繊維。加工により、飲料や食品などに入れやすくなっている」(江頭教授)。こういった食物繊維入りの食品は、「整腸など、特定の目的でとるにはいいが、野菜などに含まれるさまざまな食物繊維の働きがすべて得られるものではないと考えたほうがいい」(森田教授)。
A 自然の食物繊維そのものや食物繊維を加工して使いやすくしたもの
トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品には、食物繊維が入れられているものが少なくない。「多くは天然由来のでんぷんに、熱を加えたり酵素処理をしてつくられた食物繊維。加工により、飲料や食品などに入れやすくなっている」(江頭教授)。こういった食物繊維入りの食品は、「整腸など、特定の目的でとるにはいいが、野菜などに含まれるさまざまな食物繊維の働きがすべて得られるものではないと考えたほうがいい」(森田教授)。

Q どう摂取すると効率もバランスもいいとり方ができる?
A 定食なら組み合わせやすい
食物繊維に詳しい3人が口を揃えていうのは、「主食で炭水化物をとる和食中心の食事」ということ。和食だとメニューのなかにさまざまな食物繊維を組み合わせやすい。白米にβグルカンの大麦を加え、たっぷりワカメの味噌汁でアルギン酸をとる。これにゴボウなど根菜中心の煮物にするなど、工夫もしやすいのでお薦めだ。
A 定食なら組み合わせやすい
食物繊維に詳しい3人が口を揃えていうのは、「主食で炭水化物をとる和食中心の食事」ということ。和食だとメニューのなかにさまざまな食物繊維を組み合わせやすい。白米にβグルカンの大麦を加え、たっぷりワカメの味噌汁でアルギン酸をとる。これにゴボウなど根菜中心の煮物にするなど、工夫もしやすいのでお薦めだ。

青江誠一郎教授

森田達也教授
静岡大学学術院農学領域応用生命科学科。愛媛大学大学院農学研究科修了。食物繊維や難消化性でんぷんなどの難消化性成分と消化管粘膜との相互作用などを研究。

江頭祐嘉合教授
千葉大学大学院園芸学研究科・応用生命化学領域食品栄養学研究室。食品成分とトリプトファン代謝に関する基礎研究、食物繊維素材の開発と生理機能研究などをテーマに研究。

(日経ヘルス 岡本藍、イラスト 村澤綾香、栄養計算 内山由香=食のスタジオ)
[日経ヘルス 2018年4月号の記事を再構成]