インデックス投信、「安物買い」しないための注意点QUICK資産運用研究所 北澤千秋

写真はイメージ=123RF
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積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の開始や個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用者拡大を受けて、資産運用の初心者の受け皿を想定した低コストの指数連動型投資信託(インデックス型投信)が増えている。インデックス型はどれも商品性に大きな違いがないコモディティー商品(汎用品)だけに、投資家がコストの安さを基準にファンドを選ぶのはうなずける。ただし、インデックス投資でもコスト以外に留意すべき点はある。

信託報酬が成績を決める

まず、インデックス投資においてコストがどれだけ重要な意味を持つかを確認しておこう。グラフAは日経平均株価に連動するインデックス型投信について、運用にかかる実質信託報酬を横軸に、5年リターン(年率)を縦軸として分布状況を調べたものだ。分布の形状は右肩下がりで、信託報酬が安いほどリターンが高くなる傾向を示している。10年リターンと信託報酬の関係を見ても、傾向はほぼ変わらなかった。

同じ日経平均連動ファンド(設定後年数5年超)の中で、年間の信託報酬は最も低い0.27%から、最も高い0.864%まで0.594ポイントの開きがあった。信託報酬は日割りで運用資産から差し引かかれるため、負担を実感しにくいが、期間が長くなるほど運用の複利効果をそいでリターンの足を引っ張る。

例えば、日経平均連動型で信託報酬が最低と最高のファンドを10年前に100万円購入したケースでは、今年3月末時点での利益はそれぞれ101万円と87万円となり、約14万円の差が生じた(販売手数料は考慮せず)。信託報酬は3月末時点の数値で、ここ1年ほどの間に相次いだ既存投信の信託報酬引き下げを反映している。このため、コストと長期リターンの関係を厳密に表しているわけではないが、コストによって長期の運用成績が大きく違ってくるのは間違いない。

アクティブ型はコストで選ぶと期待外れ

ちなみに、ファンドマネジャーが独自運用するアクティブ型投信では、コストとリターンの間に明確な規則性はみられない(グラフB)。コストが高くてリターンも高いファンドがある一方で、高い信託報酬を取っていながら成績が振るわないファンドも少なくない。逆に低コストのファンドがおしなべて成績優秀というわけでもない。アクティブ型の場合、単純にコストの安さだけを見てファンドを選ぶと、期待外れの可能性がある。

インデックス型投信の選別基準にはコスト以外にも、指数の動きと投信の基準価格のかい離を示すトラッキングエラー(TE)などがある。これに対して、独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は「投資初心者ならTEなどは気にせず、同じ指数に連動する投信の中で単純に長期リターンの高いファンドを選べばいい」と話す。そしてグラフAで見たように、多くの場合、長期の運用成績を左右するのはコストの高低だ。

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