検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「発汗デトックス」はウソ? やり過ぎは命の危険も

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

発汗は、今や健康や美容のトレンド。遠赤外線サウナからホットヨガまで、タオルが汗でびっしょりになるアクティビティはリラクゼーション効果があるだけでなく、体の毒素を排出して健康を保つとも言われる。だが、「汗をかいて毒素を排出する」という説は間違いであることが、最新の研究で明らかになった。

人が汗をかく理由

人間が汗をかくのは体温を下げるためであって、老廃物や有毒物質を排出するためではない。その役目を負うのは、腎臓と肝臓である。もちろん、都市伝説の中にも一粒の真実はあるものだ。この場合も例外ではない。汗の成分の大部分は水とミネラルだが、様々な種類の有毒物質も含まれている。

ただし、学術誌「Environment International」に掲載された研究報告によれば、その量はごくわずかだという。

「どの程度の量かということは、常に問うべきです」と、化学者のジョー・シュワルツ氏は言う。「汗を分析すると多くの物質が見つかりますが、化学物質があるからと言って必ずしも危険なわけではありません」

汗に含まれる汚染物質の量は?

シュワルツ氏は、カナダ、マギル大学の科学社会事務局長を務めている。科学に関する都市伝説を検証する同局には、医療詐欺やエセ療法に関する問い合わせが山のように寄せられているという。そのなかには、体のデトックスをうたったものも数多い。

では、汗の中にはどれほど有害な物質が含まれているのだろうか。

ほとんどの汚染物質に関しては、その量はあまりにわずかで、あってもなくても変わらないと、今回の研究を率いたパスカル・インベルト氏は言う。インベルト氏は、カナダ、オタワ大学の運動生理学者で、体脂肪に蓄積する汚染物質の研究をしている。

これらの物質は「残留性有機汚染物質」と呼ばれ、農薬、難燃剤、そして現在は禁止されているもののまだ環境中に残っているポリ塩化ビフェニル(PCB)などがある。食品や環境中に存在する「毒」と一般に考えられているが、脂肪に引き寄せられる性質があるため、大部分が水でできている汗には溶けにくい。

インベルト氏と研究仲間が調べた結果、普通の人が1日45分間の激しい運動を行ったとしても、1日の発汗量はせいぜい2リットルほどだった。これには、運動していない平常時の発汗も含まれる。そして、それだけの汗をかいても汚染物質は0.1ナノグラム以下しか含まれていない。

言い換えると、「普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎません」と、インベルト氏は言う。さらに運動を激しくしたとしても、0.04%程度までしか増えない。

つまり、どんなに大量の汗をかいたとしても、その日体内に摂取した汚染物質の1%すら排出できないということだ。

ただし、ほとんどの人間の体内にある農薬やその他の汚染物質の量自体、極めて微量であるということも覚えておいてほしい。分析化学者の功績により、今では1兆分の1単位で物質を検出できるようになったが、だからといってそのわずかな物質がすぐさま有害であるとか、減らせば健康に良いといった話にはならないと、シュワルツ氏は言う。

それでも人気の「発汗デトックス」

話を一粒の真実に戻そう。重金属やプラスチックに含まれるビスフェノールA(BPA)は水に溶けやすい性質のため、ごくわずかの量が汗の中に含まれている。しかし、血中から高濃度の金属を除去するにはもっと効果的な方法がある。例えば、キレーション療法と呼ばれるものがそれだ。また、BPAは汗よりも尿と一緒に排出される量の方が多い。米国立環境衛生科学研究所によると、BPAへの暴露を減らす最も効果的な方法は、それで作られた容器から食べたり飲んだりしないことだという。

一方、発汗デトックス産業の勢いは止まらない。最新の流行は、遠赤外線サウナだ。電気ヒーターや蒸気ではなく、遠赤外線の光を熱源とする。米総合誌「The Atlantic」の記者は、遠赤外線サウナによるデトックス効果の宣伝文句について調査したところ、すぐに実際の科学に基づいたものではないことが明らかになった。

だが、スパやサウナのメーカーは依然としてデトックス効果を宣伝し続けている。米テキサス州とインディアナ州の消防署でも、消防隊員が煙を浴びて体内に取り込んだ化学物質を汗と一緒に排出し、がんも予防できるとして、遠赤外線サウナを購入した。サウナには鎮静作用など様々な効果はあるが、がんを予防できるという宣伝文句は科学的に実証されていない。

そればかりか、やりすぎると命取りになることさえある。

カナダのケベックで35歳の女性が、デトックス・スパトリートメントを受けた。泥パックをしてラップで包まれ、頭に段ボール箱をかぶせられ、毛布にくるまって9時間横になり汗をかき続けた。それから数時間後、熱中症により女性は死亡した。

シュワルツ氏は、次のように話す。「昔からよくあることですが、複雑な問題に単純な解決法を適用しようとした結果です。希望を持つことはとても大切ですが、一部の人間は、その希望を利用して何も知らない消費者にとんでもないものを売りつけようとするのです」

(文 Erika Engelhaupt、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年4月13日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_