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リーダーの母校

数学・音楽二刀流、フェリスに原点 東大卒ピアニスト ジャズピアニスト・中島さち子氏が語る(下)

2018/4/30

数学オリンピックでできた学校の外でのつながりは、その後も様々な形でありました。例えば、筑駒の先輩が数学の専門書を輪読するゼミを立ち上げ、私も毎週、授業が終わった後、制服のまま電車で横浜から東京に行き、活動に参加。そうした仲間の上級生の多くは東大に進学していたので、私もごく自然に東大に行こうと考えていました。

東大を卒業しジャズピアニストの道へ。

東大に入ってからは、ますます数学に魅了され、没頭する毎日でしたが、一方で遊びの気持ちで始めたはずのジャズピアノがどんどん面白くなり、その奥深さを知れば知るほど、ジャズの面白さにはまっていきました。

特に大学3年以降はフェスティバルなどで演奏する機会も増え、ジャズピアニストとしての手ごたえも感じ始めていました。ジャズに限らず音楽という世界の奥深さや、音楽家の生き方などを目の当たりにし、「自分自身の音」をもっと追究したいと思い始めました。

大学院で数学の研究を続けることも検討しましたが、やはりジャズや音楽をもっと深めたいとの思いを断ち切れず、悩んだ結果、音楽の道を歩むことに決めました。

その後しばらくは、ジャズに専念。「渋さ知らズオーケストラ」バンドの一員として海外のツアーにも参加しました。いろいろな人との出会いもあり、まさに国際数学オリンピックでインドに行ったときにカルチャーショックを受けながら感じた人間の混沌、奥深さを、音楽を通じて体験する日々でした。

娘が生まれてからは、考え方がまた少し変わりました。それまでは、自分のしたいことに忠実にまっすぐ生きていましたが、母親になったら、自分が学んできたことを社会に還元したいという気持ちが徐々に芽生えてきました。

そして、数学や音楽の本当の楽しさをみんなに知ってもらおうと、講演やワークショップ、本の執筆など、いろいろな活動を始めました。数学研究も少し再開しました。最近は、数学と音楽の関係を、トークと演奏と双方向のアクティビティーで体験してもらうという、ちょっと変わった公演活動もしています。

母校のフェリスでは、これまで2回ほど招かれて演奏しました。在学中に毎朝、讃美歌を歌っていた歴史的なカイパー記念講堂での演奏は、非常に感慨深いものがありました。

私自身は今でも正直、フェリスでは異端児だったと思っていますが、そんな異端児でも卒業生として温かく迎え入れてくれ、またその生き方を全力で応援してくれるフェリスは、本当にありがたい母校だと思っています。

(ライター 猪瀬聖)

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