「ストロングゼロ」の快進撃 果実感で女性にも人気
酒類市場が縮むなか、逆に伸び続けているのが、缶チューハイなどの、開けてそのまま飲める缶飲料だ。特に度数が8~9%の高アルコールタイプは成長株。この5年で、市場規模は2倍以上に広がった。そのけん引役が、サントリースピリッツの「-196℃ ストロングゼロ」。月間の売上額(1店当たり)で見ると、17年は年間を通じて前年比を上回る快進撃を続けた。
絶好調の要因の一つが、アルコール度数が高いのに、30~40代の女性を取り込めている点だ。スーパーマーケットでの年齢別の購入者データを見ると、宝酒造の競合ブランド「焼酎ハイボール」に比べてその層での強さが目立つ。
空白地帯だった女性向けの「高アル」缶飲料を開拓
もともと、09年の誕生時のターゲットは30~40代の男性で、「糖類ゼロ」「1本で酔える経済性」が受けて支持を獲得。しかし、「女性向けのフルーツ系ストロング飲料が市場にはない」(サントリースピリッツ)と見て、11年から梅などの果物感を押し出した商品を投入すると、低度数で甘い缶チューハイに物足りなさを感じていた働く女性の需要を捉えた。
17年からは、CMなどを通じて「食事に合う缶チューハイ」という訴求を強化。「ドライ」や「ビターレモン」といった、料理を邪魔しないキレのある商品を武器に、ビールの牙城である食卓へと切り込む。晩酌酒から食中酒へ──。従来の缶チューハイの概念を飛び越え、ロングヒットにつなげた。
(ライター 高橋学)
[日経クロストレンド 2018年4月11日の記事を再構成]
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