日本で Transform の共同代表&パートナーを務め、マネジャー層向けに「セルフマネジメント」のセミナーなどを実施、直接アドバイスをしている

白河 例えば、ミドルゾーンでは、古い世界で自分が偉くなったことも意味がなくなってしまうわけですね。自分には価値がないと感じ、自信喪失にも陥ります。

ハンター その通り。ただし、それはネガティブな側面です。ミドルゾーンにはポジティブな側面もあって、例えばルールがまだ整備されていない状態だから、やろうと思えばなんでも新しいことに挑戦できる。答えがない中で「今、何が機能するのか?」に挑戦できるんです。

言い換えると、自分に似合うジャケットを探すように、次々とトライしていけます。変化をポジティブに受け止めどんどんトライできるかは、実は知性の問題ではなくて、その人があまり居心地の良くないことにでも冒険していけるかどうか、という気持ちの問題なんです。これがセルフマネジメントの核といえます。

不快な状況を無理に押しやったり、その状況から逃げたり、無視したりするのではなく、適切にマネジメントすることが重要です。

白河 単に「我慢する」のはなく、ポジティブな方向に向けていく。それもスキルのうちなんですね。

ハンター そう。変化が怖いのは当然だし、迷ってもいいんです。この時代、みんなそんなものですから。

不快な感情もまた必要なこと

ハンター トランジションの最中にいる時は不快な感情とも向き合わなくてはなりません。そして、ミドルゾーンでは気分がめいったり、うつ状態になったりしやすくなります。例えば、こんなことがありました。

ある日、友達からメールがきて、「おかしい」と感じたので「大丈夫?」と聞いたら、「ノー」と。「もう生きていたくないし、ベッドから起きたくもない」と言う。50代前半の女性ですが、彼女に非はないんです。ただ、若い時期が終わった段階にいるだけ。だから、私は「あなたはただミドルゾーンにいるだけだ」と説明しました。落ち込むのは病気じゃない。青虫がチョウになっていくように、これから新しい人生が始まる。不快かもしれないけれど、それは必要なことですよ、と伝えました。

白河 不快を経ないと、トランジションは起きない。日本も今、働き方を含めていろいろなことが変わっていく過渡期にありますが、変わりたくないと抵抗している人も少なからずいます。現場で悪戦苦闘しているミドルマネジャーの身になると、その気持ちもよくわかります。会社から急に「生産性を上げろ」「早く帰れ」「休め」と言われ、部下は早く帰ってしまう。仕方なく自分が仕事を背負うしかない。そういった苦境にたっている人たちは、どうしたらいいですか?

次のページ
話さなければ、何も始まらない